競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回も前回に引き続き「横山典弘騎手」を取り上げます。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
さて、前回は横山典騎手の逃げについて取り上げました。今年になって急激に増えている「ノリ逃げ」ですが、一見気まぐれのように見えますが、実はある程度読むことができます。
「ノリ逃げ」が発生しやすい1つ目のケースは、継続騎乗。横山典騎手は馬との信頼関係を大事にするので、手の内に入れた馬では「馬と会話するかのように」自在な戦略を取ります。
たとえばマテンロウスカイはデビュー戦以外、すべて横山典騎手が騎乗。過去3回逃げていますが、逃げた際は2勝2着1回と好成績を収めています。またルカンは4度目の騎乗で初の逃げ。そのまま押し切って初勝利を飾ると、次走でも逃げの手を打ち連勝。馬との信頼関係が大切になるだけに、手の合うコンビでは何度も好走するのが同騎手のパターンです。
2つ目はスピードのある馬に初騎乗するケース。基本的に横山典騎手は、初騎乗の馬だと特に「スタートから馬の邪魔をしない」戦略を取ります。まずは信頼関係を築こうとしているのかもしれません。その結果、スピードのない馬だと自動的に位置が下がり→ポツンのような形になりがち。これは馬があまり進んでいかないケースです。
そして、逆の場合もあります。掛かる馬や距離延長などスピードがある馬に乗り替わった場合です。この時、基本的に行きたがることを制御しないので逃げが発生しやすくなります。
これで印象的なのが富士Sにおけるダノンタッチダウンの逃げでしょうか。大型馬でパワーがあり、前進気勢も強いタイプのこの馬で、さらに外枠。スタートから馬自身が行く気を見せたので、無理に抑えず馬任せに競馬をした結果逃げになったというパターンです。
今年、横山典騎手が乗り替わりで逃げたのは8度ありますが、そのうち4度が距離延長ローテ。ヴィクトリアマイルで逃げの手を打ったロータスランドも、前走1200mからマイルへの距離延長でした。
~逃げを馬券に生かすには? 買える逃げと逆噴射パターン〜
さて、横山典騎手の逃げについて考えてきましたが、馬券に生かすには枠順が重要です。