競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「騎手視点から見た菊花賞の穴馬&危険馬」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週の3日間開催の重賞を制したのは、またしてもルメール騎手でした。秋華賞はチェルヴィニアを駆り、オークスに続くG1連勝。返す刀で翌日の府中牝馬Sではブレイディヴェーグとのコンビで、復帰戦を見事に飾りました。
府中牝馬Sは川田騎手が騎乗したマスクトディーヴァも注目を集めましたが、伸び切れず3着。脚を溜めた方が良いタイプなので、川田騎手で前哨戦を使い、さらに距離が延びてエリザベス女王杯ということを考えると、叩いた上積みよりも距離延長への不安が上回ります。
現状のまま行くと、本番でブレイディヴェーグを逆転するのは難しいのではないでしょうか。
やはり芝の中長距離はルメール騎手、ということを改めて印象付けた3日間でしたね。
~菊花賞はルメール騎手が騎乗する馬・しない馬をどうするかがカギになる~
さて、そうなると俄然気になるのは菊花賞です。長距離最強ジョッキーのルメール騎手は、当然菊花賞でも大活躍。過去10年で7回騎乗し(3-2-1-2)。しかも、ルメール騎手としては人気馬ばかりというわけでもなく、1番人気での参戦はたったの2回。昨年のドゥレッツァでの勝利も4番人気、6年前のフィエールマンは7番人気での勝利でした。
今年の出走馬を見渡すと、なんと「前走ルメール騎手で勝利」という馬が4頭(アーバンシック、アドマイヤテラ、シュバルツクーゲル、ヘデントール)もいます。
最終的にルメール騎手が騎乗することになったのは、アーバンシック。となると、他の3頭は前走から戦力ダウンは必至。アドマイヤテラの武豊騎手やヘデントールの戸崎騎手なども素晴らしい一流ジョッキーですが、それでも、
「長距離におけるルメール騎手からの乗り替わり」
を例えるなら、
「大谷に代打が出るようなもの」
です。誰が代打で出てこようとも、アーロン・ジャッジ(今季、大谷と同等かそれ以上の打撃成績を残した最強打者)級のモレイラ騎手がいない以上、それは歓迎とは言い難いでしょう。
といったことも踏まえて、今年の出走馬を騎手視点で展望していきます。
~菊花賞出走馬を徹底診断~
★アドマイヤテラ(武豊騎手)