競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「騎手視点から見た天皇賞(秋)の有力馬&危険馬」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週の菊花賞はなかなか攻防があって面白いレースでしたね。
勝ったのはルメール騎手が騎乗したアーバンシック。馬の能力面で抜けていたとは思えないのですが、やはり長丁場のルメール騎手は最強でしたね。リズムを取りやすい外枠も良かった。
最終的な本命は◎ヘデントール。実は当コラム執筆時点ではまだかなり悩んでいたのですが、最終的な決断を後押ししたのは「枠並び」でした。
ヘデントールは8枠16番。多頭数の外枠というと不利と思われがちですが、そもそも今の京都芝の長丁場の外枠はまったく不利ではありません。加えてメイショウタバルがが5枠10番、内に寄せて行くと思われた岩田康誠騎手のエコロヴァルツが7枠15番といずれも外枠。外枠の馬が先団形成をしてバテると外枠有利になりやすいので、むしろ今年は内枠の方が不利でした。
内枠の不利をモロに被ったのは人気のダノンデサイルでしょう。横山典騎手は何も間違えていませんが、強いて言えば運が悪かったということ。
外枠からスパートのロスをせずに押し上げた組が上位を占めた、そういう結果でした。奇しくも秋華賞と同じ上位3騎手の組み合わせになってのは偶然ではなく、必然でしょう。
秋華賞も菊花賞も、いかに我慢し、いかにスムーズに加速させるかが大事なレース。そうなると、やはりリズムを重視するタイプの方が有利になります。私はラーメンのトッピングの中で煮たまごが一番好きなのですが、末脚を煮たまごだとすると、最後までたまごを残して、もう麺がなくなりかけたくらいでついに口に入れる…、そんなタイプの騎手が有利というわけです。
川田騎手や松山騎手は恐らく前半でチャーシューと一緒に食べるタイプでしょうし、デムーロ騎手も好きなものには真っ先に飛びつきそうです。
じっくり味わって煮たまごならぬ末脚を温存するルメール騎手、特に伏兵の立場では一番美味しいところを最後まで残すことを心掛ける武豊騎手、常にマイペースで無茶はしない戸崎騎手の3人が、上手くラストまで脚を残したというのが秋華賞及び菊花賞だったと思います。
ちなみに、4着ショウナンラプンタの鮫島克駿騎手も脚を溜めるのが上手いジョッキーで、改めて近い将来、芝中長距離でのG1制覇を予感させました。
※ラーメンの件は例え話ですので、実際のところどうなのかはわかりませんのでご了承ください。
~天皇賞(秋)出走馬を徹底展望~
さて、今週も大一番が続きます。舞台は東京に替わり、天皇賞(秋)。今週もルメール騎手が騎乗するレーベンスティールが制するのか。それとも、G1で2着、3着とあと一歩に迫っている武豊騎手=ドウデュースが一矢報いるのか、はたまた…。というわけで、注目馬を中心に各馬の展望をお送りします。
先週は危険馬としたコスモキュランダ、メイショウタバルはともに見せ場なく敗れていますので、買う馬、危ない馬ともに、週末の予想に役立てていただければ幸いです。
ちなみに今の東京芝は、