競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「松山弘平騎手(後編)&エリザベス女王杯の注目コンビ」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
先週は地方に海外に見どころが多かったですが、アルゼンチン共和国杯はいかにも長距離戦らしい、ワンテンポ仕掛けを待てるジョッキーが上位を占めた一戦でした。
ハヤヤッコの吉田豊騎手は決め打ち的な思い切った騎乗が得意で、ジョッキー版ダンシングブレーヴのようなタイプ(って例えが古すぎますか)。
逃げのパンサラッサ、かつてヴィクトリアマイルで2000万馬券のアシストをしたケイアイエレガントのような好走があるかと思えば、今回のハヤヤッコや、クリスタルブラック、シュンドルボン、アポロビビのような、最後にドカンと決める差しもあります。
いずれにしても、行くときは行く、待つときは待つ、というメリハリの利いた騎乗が時にドハマリするわけですね。3着タイセイフェリークの大野騎手も含めて、直線の長い長距離戦で「待てる」ことの強みを見た気がします。
セレシオン=荻野極騎手、マイネルウィルトス=石川裕紀人騎手あたりは強気の攻めが武器ですが、基本待てる騎手ではないので、先週のようなレースになると早仕掛けで最後に止まる運命なのでしょう。騎手の個性ってやっぱり大事ですね。
ちなみに、最近は主場の東京や京都の芝が「待てる騎手」向きになっているので、若手騎手でも溜められるタイプの方が大一番では結果を出せる仕様になっていると思います。
逆に、若いうちにたくさん勝っていても田口貫太騎手あたりは、今の感じだと三浦騎手のような個性になっていくかもしれません。
~松山騎手はなぜタフな馬場に強いのか?~
さて、今回は松山騎手の続きです。先週は外国人騎手からの乗り替わりは実は買いである、というお話をしましたが、もうひとつ大事なことをお伝えします。それは、タフな馬場への強さです。
実は松山騎手、芝では馬場が悪くなればなるほど、成績が上がります。少し長めにデータを取ってみてみましょう。