競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「高杉吏麒騎手を攻略する(前編)」です。
先週の中山は当初想定していたより圧倒的に先行イン有利の馬場になりました。その結果どうなったか?
(1)内枠の馬が活躍した
(2)距離延長馬が活躍した
(3)ルメール騎手が苦戦した
(4)ノーザンファーム勢も苦戦した
以上、4点がポイントでした。
(1)は前が残る中山なら内枠が有利になるのは必然でしょう。先週の芝9レースのうち6レースで1~4番枠の馬が勝利。
(2)はスタミナを問われれなかった証明でもあります。京成杯も前走2000mを走っていた上位人気3頭が総崩れし、1~3着は前走芝1600~1800mを使われていた組でした。
そして、末脚が生きない馬場になれば苦戦するのはルメール騎手。芝では6鞍に騎乗し(0-0-3-3)と連対ゼロ。
となると、ノーザンファーム勢も苦戦。24頭が出走し人気薄の1勝のみ。1~3番人気馬が8頭出走していましたが、残念ながら未勝利でした。
結局、競馬って誰もが最強だと信じている存在でも、条件が変わればアッサリ力を出せなくなってしまう繊細なものなんですよね。だから騎手も巧拙より、特徴を掴むことが大切になってくるのです。今週末も似たような馬場が継続するならば、やはり先週の傾向を踏襲して狙いたいところです。
~躍進を続ける高杉騎手の狙いどころ~
さて、今回は2年目ジョッキー特集(?)の続きということで、高杉騎手を取り上げたいと思います。
ルーキーイヤーの昨年は48勝の大活躍。2年目の今年も既に5勝と、日を追うごとに存在感を増しています。果たして狙いどころはどこにあるのか? どういった特徴なのか? 現時点でわかることをできる限り解き明かしていこうと思います。
ところで、当コラムで特に新しい騎手を取り上げる際は、自身の中での印象をまずは固めたあとに、もう一度これまでのレースを大まかにすべて見直すんですね。今回も既にあった高杉騎手へのイメージを大事にしつつも、改めて昨年、そして今年に入ってからのパフォーマンスを見直しました。
これは端から見たらそれなりに大変なことに思えるかもしれないんですが、実は観ていて楽しいんですよ。特に上手い騎手だと。僕もこの仕事(競馬の予想をすることや騎手の研究をすること)は今でも趣味の延長のようなものなので、気づいたら時間が過ぎているのです。
なぜこんな前置きをしたのかというと、今回高杉騎手を改めて見直して、気づいたらかなりの時間が過ぎていたのですよ。結論からいえば、逸材ということです。