競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「高杉吏麒騎手を攻略する(後編)」です。
先週は亀谷競馬サロンでの現地(?)観戦でした。AJCCは横山典騎手からの乗り替わりとなったダノンデサイルが勝利、2着には横山典騎手継続のマテンロウレオ。
以前からお伝えしているように、横山典騎手が騎乗していた馬の乗り替わりはよく走りますが、これは横山典騎手が誰でも操縦しやすいように馬を作っているからです。ダノンデサイルは逃げた後ということで本来なら難しいシチュエーションでしたが、横山典騎手がずっと乗ってきた馬なので心配ご無用。道中中団から差し切る完勝でした。
2020年以降の重賞において、前走横山典騎手から乗り替わった馬を買い続けると、
(5-5-5-65)単/複 128/91%
ご覧の通り、かなりの高成績。前走で横山典騎手が騎乗した馬はストレスから解放されているので、次走誰が乗っても動きやすくなります。最近だとアラタの久々の勝利(福島記念)も、直近2走で横山典騎手が騎乗していたために操縦性と反応が上がっていました。
前走横山典騎手からの乗り替わりで、さらに芝2000m以上の重賞に限れば、
(5-2-1-21)単/複 353/152%
古くはアカイイトのエリザベス女王杯での一撃も、前走で横山典騎手が上手くガス抜きしていたからこそ成し得たものだと考えています。操縦性の高さが特に中距離以上で生きる…というわけです。
「前走上手い騎手が乗ったからこそ乗り替わりで走る」
という一見矛盾とも考えられる現象が起きるのは面白いですね。当然逆もあると思います。次走乗りにくい…これは厄介ですね。一見、前任者が上手かったから成績が落ちるように見えてしまうのですが、そうでもないという。それが誰なのかは、またの機会にしましょう。
~スタート力が生きる新馬戦&ダートの内枠~
さて、今回は高杉騎手の後編、まとめに入ります。
先週、近い将来100勝、さらにリーディングを取れると書いたのですが、その根拠はただの減量を生かした活躍ではないこと、そして柔らかさとパワーを兼ね備えた騎乗にあります。