競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「マイケル・ディー騎手&天皇賞(春)展望」です。
先週は香港チャンピオンズデー。リバティアイランドは大変残念なことになってしまいました。結果的に少しその話題の陰に少し隠れる形になってしまいましたが、タスティエーラの日本ダービー以来の華麗なる復活劇に触れないわけにはいきません。
タスティエーラは2023年の日本ダービー馬。しかしその後はなかなか勝ち切れないレースが続き、今回が約2年ぶりの復活勝利でした。
父はサトノクラウン。サトノクラウンは古馬になり香港ヴァーズを制し、国内でも5歳になり宝塚記念を勝利、雨の天皇賞(秋)でもキタサンブラックの2着と好走した晩成型の中距離馬。何より特筆すべきは、キャリアで挙げた国内外の重賞6勝のうち、5勝が外国人騎手騎乗時だったことでしょう。
タスティエーラもG1はともにレーン騎手とのコンビ。この血統を開花させるのは堀厩舎の調教であり、外国人騎手である、ということを改めて証明する結果でした。父の足跡を辿るのであれば、まだまだ成長力にも期待できるはず。今後も国内外で注目ですが、その際には鞍上も重要になることを覚えておきたいですね。
~初来日のマイケル・ディー騎手が早々に高配当を演出~
先週末のジョッキー関連の話題といえば、初来日となるマイケル・ディー騎手でしょう。現状は2着が3回で未勝利。馬券を買う上では鮮烈なデビューにならなかったのは好材料でしょう。今から特徴を掴んでおきたいです。
まずは簡単にプロフィールの確認から。
ディー騎手はニュージーランド出身の29歳。オーストラリアを主戦場としており、2022年のコーフィールドカップをダーストンで制するなど既にG1を15勝している名手です。
豪州を主戦場にする騎手といえばウィリアムズ騎手やレーン騎手、キング騎手などが短期免許で結果を残しており、日本とも好相性。ディー騎手も日本適性も探ってみます。
来日初週となった先週は勝ち星こそ挙げられなかったものの、2着が3回。まずは内容を振り返ってみましょう。
▽アルデツヨシ
東京ダ2100m 10番人気2着
好スタートから先手を奪い、直線も強気に仕掛けて粘り込み。
▽オルグジェシダ
東京芝1800m 3番人気2着
少し押して出して行って2番手追走から直線は3分どころに持ち出して粘り込み。
▽クラリネットソナタ
東京ダ1600m 4番人気2着
スタートは遅れ気味で後方からの競馬になったが、外から押し上げ直線追い込む。
好走したレース以外を見ても、戦略は自在。ただ、どちらかといえば馬群を突くよりも外からスムーズに脚を伸ばすスタイルを好むイメージで、仕掛けは早め。
公表されているプロフィールでは173センチとかなりの長身です。アスリートの公称プロフィールの数字は目安程度ではありますが、それでも騎手としてはかなりの高身長には変わりありません。実際レースを見ていても腕が長く、折り合いをつけるのは上手そう。
いわゆる日本向きでない外国人騎手にありがちな、ガシガシと騎乗するタイプではないのは好感を持てます。そこはオセアニア仕込みというか、バランスが取れている印象です。
ディー騎手自身も特に逃げや追い込みなど特定のスタイルにはこだわりがないようで、日刊スポーツのインタビューでは、「力強く追う自信はある」と語っています(※1)。レースを見ていても上手く持久力を引き出してくれそうなイメージを持てます。
(※1)日刊スポーツ
今週から短期免許ディー騎手が美浦で調教「坂路もアメージング」
~開催が進んだ方が成績を上げる?~