競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「2025年の直線競馬を徹底攻略&ヴィクトリアマイル展望」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
NHKマイルカップは想定以上の大波乱でした。取り上げたディー騎手が来たのは良いものの、チェルビアットとはあまり合わないかなと思っていたんですよね。見事に対応してきたのは、やはりディー騎手が上手いからでしょう。
同時に、ロードカナロア産駒は操縦性の良いタイプが多く、馬群も捌けるという点では外国人騎手に合う感じもしますね。今年のG1はコスタノヴァ、サトノレーヴに続いてロードカナロア産駒×外国人騎手が好走。今週末のアルジーヌ×レーン騎手にも注目でしょう。
さて、今週は直線競馬とジョッキー戦略について考えてみます。ジョッキーを馬券に生かすという点でも直線競馬は最適な舞台。
新潟は2週×4レースが終了しましたが、菊沢騎手が穴馬で1勝3着1回。ともに菊沢騎手得意の、
「カニ歩き戦法」
が炸裂しました。もっとも当コラムを読んでいる亀谷サロンの皆さんにとって、もはや「直線の菊沢」は常識だったはず。菊沢騎手の直線巧者ぶりは何年も前から幾度となく指摘してますから、きっと驚きもありませんよね。もちろんこの優位性はそう簡単に崩れるものではないですから、今後も積極的に狙っていきましょう。
~今開催の直線はジョッキーの戦略が生きる馬場~
まず基本的なことですが、今開催の直線競馬は外枠が圧倒的に有利。前半開催から馬場が荒れていて内が走りにくいため、内ラチを取りに行くような奇襲が通じないためです。とにかくラチ沿いに上手く寄せて、馬場のいいところを通ることが最善策。それを容易にできる外枠の馬か、あるいは外ラチを取る戦略を持ったジョッキーの騎乗馬が有利になるという構造です。
もうひとつ大事なことは、今のような馬場だとジョッキーの戦略性が生きやすい点です。馬場が良くてスピードだけで圧倒するような直線競馬は、馬のポテンシャルやスピード能力ありきになるため、どんなに戦略を練っても圏内まで届かないことが多い。
一方、今の新潟のような荒れた状態の芝になると、スピードだけで押し切れないため、よりジョッキーの戦略性が生きてきます。
~騎手目線で考える直線の最適戦略~
ちょっと視点を変えて騎手目線で考えてみましょう。というのも、直線はラチ沿いが有利になるとわかっているのだから、みんながそこを目指したら結果的に優位性はなくなるはずなんです。
ところが、これだけ外有利が広まっても、結局上手く乗れる騎手が決まっているのは、やはり誰でもできるからではないということなんです。