競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「宝塚記念の振り返りと函館競馬の注目騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
今年は宝塚記念が2週繰り上がったことにより、いつもより早く春G1が終了。今週末の東京&阪神最終週を終えると、本格的に夏競馬に突入します。しばらくG1モードでしたが、当コラムも再び新しい騎手を取り上げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
リクエストをいただいている中で取り上げていないのは、小沢騎手、小崎騎手あたりですかね。個人的には松本騎手も気になるところです。あとはリーディング上位だと、藤岡佑介騎手は確かまだ書いていなかったような…?
今週はまず振り返りから。宝塚記念は武豊騎手騎乗のメイショウタバルが果敢に先手を取り、巧みなペースコントロールで逃げ切り勝ち。武豊騎手は最近大一番で穴馬で差して来るパターンが多かったですが、キタサンブラックとのコンビで度々見せてくれた最高の逃げを久々に見た気がします。
ちょっと気になって調べてみると、武豊騎手の重賞の逃げ切り勝ちは、2023年の葵Sをモズメイメイで制して以来約2年ぶり。最近はドウデュースを筆頭に、アドマイヤテラ、スウィープフィートなど、末脚を伸ばす形での重賞制覇が多かったので、久々の逃げの武豊を見たという感覚は間違っていなったようです。
ちなみに武豊騎手が逃げ切るとあまりにも鮮やかなため、
「後続の騎手は何をしているんだ」
という声が必ず聞こえてくるのですが、むしろ何もさせないのが武豊騎手の上手さ。下手に絡んで行くと、再びペースを上げて、結果的に追いかけて行く組の方が損をしますし、何も手を出さなければそのまま逃げ切られてしまう。もうこれは武豊騎手の上手さとしか言いようがない。
そして結果的に最も得するのは、インでジッと待機している組なんですよね。
モズメイメイが制した葵Sは2~3着に1枠の2頭が入線。今回の宝塚記念でも2着に最内枠のベラジオオペラ、3着に4枠7番のジャスティンパレス、さらに14番人気のチャックネイトも内を上手く立ち回りあと一歩の5着でした。
~ディー騎手は東京以外の方が合う~
もう少し宝塚記念の話をしたいのですが、今回ジョッキーの力が際立ったのは3着のジャスティンパレスでしょう。天皇賞(春)ではやや早仕掛け気味で末脚を失いましたが、今回は初騎乗のディー騎手が末脚を引き出し10番人気の低評価を覆しての3着好走。
ディー騎手はルメール騎手や戸崎騎手、横山武騎手などが不在で空き巣状態だった土曜の東京で有力馬が多数集まりながらも、勝ち切れず。初の阪神参戦となった日曜日は、勝ち星こそ挙げられなかったものの、午前中の未勝利戦ではロイヤルウィルに騎乗し6番人気2着。メインの宝塚記念でも前述通りジャスティンパレスを10番人気ながら3着に持ってきました。
レーススタイルを見ていても、やっぱり持久力を引き出す方が合うんですよね。そう考えると東京を主戦場にしたことでちょっと力を発揮できなかったというか…中山とか阪神とか、そういう舞台の方が合う気がします。こればかりは来れるタイミングもあると思うのですが、今後も東京では少し危ないですし、小回り的な条件の方が合うということはアタマに入れておきたいですね。
今週末は府中牝馬Sでミアネーロに騎乗しますが、東京の重賞だと信頼度は落ちます。特に中~外枠を引いたら危ないでしょう。
~函館は若手騎手の台頭に注目~
先週末から始まった函館開催は、芝1000mのレコードが更新されるなど高速馬場でスタート。イン立ち回り組の有利も顕著で、函館スプリントSも内枠決着。日曜メインの芝1200mも内枠の馬が上位を独占しました。
夏の函館は若手騎手が台頭し始める舞台でもあるので、今回は各騎手のポイントや穴で注目すべき騎手を取り上げていきたいと思います。6週間の開催となりますので、油断しているとあっという間に過ぎてしまいますからね。ポイントを押さえて、早めにいい馬券を取っておきたいものです。