競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「小崎綾也騎手」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
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今週は1日遅れで申し訳ありません。
さて、先週楽しみにしていたアイビスサマーダッシュは、ルメール騎手のピューロマジックが勝利。特別、ルメール騎手が直線向きとは思わないのですが、今年に関しては騎乗馬の適性と、あとは枠順も良かったですよね。馬群を無理に捌くタイプではなく、コーナー競馬では外枠巧者ですから、逆に直線競馬では3枠6番がピタリとハマりました。
「むしろ内を引いた方がいい」
と、これは先週書いた通り。
もう1つ先週触れたのはバデル騎手。
「日曜中京メインのマリオロードはズブいダート馬。いかにも手が合いそう」
と、これまた書いた通りでしたね。9番人気1着。マリオロードはかなりズブくて、バデル騎手向き。切れるというよりはしぶとくバテない馬が合う。バテないバデル、って感じでしょうか。
今週のバデルは、土曜中京最終のマルクパージュは面白そうです。ハービンジャー産駒とは手が合っていて、先週も勝利を挙げています。バテないバデル、今週も期待大です。
書いた通り、書いた通りと冒頭から2連発でそろそろお腹いっぱいだと思うので、本題に入ります。
そうだ、新刊も出るのでぜひよろしくお願いします。
『道中の動きが見えてくるジョッキー事典』
このコラムを読んでいる方にもオススメできる内容です。
今度こそ本題行きますよ。最近ちょっと気になる、今まで取り上げたことのない小崎綾也騎手です。
~最近よく穴をあけている小崎綾也騎手~
小崎騎手をなぜ今回取り上げることにしたのか、それは最近やたら穴をあけているなと感じるからです。それも内容が良い。
代表的なのはクラスペディアでしょう。昨年の小倉2歳Sで好走し、今年に入ってからも5月の葵Sで13番人気2着。人気薄を持ってきているというだけでなく、内容が良いんですよね。偶然ではなく必然。
クラスペディアの葵S・2着は各馬が馬場の悪い内を避ける中で、ただ1頭ラチ沿いに突っ込んだものでしたが、レース後に「内を狙った」という趣旨の発言をしており、馬場を考えているのがわかります。
先週中京最終のチムグクルも、記録だけ見れば2番人気3着なのでどうということはないのですが、出遅れた後のリカバリーが良くて、無理に押し上げず、焦って外に出さなかったからこそ、スタートでの遅れを取り返して圏内まで持って来れました。
東京開催で穴を連発したハクサンバードのレースも印象深く、基本的にはロスなく立ち回って馬場を考えて乗れるタイプ。そして、動かすパワーもある。いわゆるフワッと溜めて弾けさせるというよりは、しっかりコントロールして動かせるので、ちょっと脚が速くない伏兵でも伸ばして来れるという印象です。先週勝利したアッチャゴーラも、直線追って来る姿は迫力がありました。
~頭脳派の一面を見せてくれたインタビュー~
また、先日のマレーシアCを11番人気グランアルティスタで制した際のコメントも印象深かったですね。
「非根幹距離が合うイメージで、上がりの掛かるコースが良いのかもしれません」
非根幹距離、というワードがジョッキーの口から出てくるのはなかなか珍しいケースです。もともとよく研究しているイメージですが、距離や適性について、外の視点を持っているのは素晴らしいことです。
競馬って自分の馬を気持ちよく走らせるだけではダメで、他者より速く走ってハナでも前でゴールするということがもっとも大事なので、そういう競技の本質を考えたときに、外からの視点というのは重要です。
そう考えると小崎騎手は今後まだ伸びしろがありそうです。
そもそも、これまで目立つほど勝てていないのは、日本にいない期間が長かったこともあります。海外経験が豊富ということは引き出しもあるでしょうし、実際最近の騎乗をみていると穴をあけるのも必然という気がします。
知名度という点ではまだ低いですし、ファンもジョッキーの名前を見て買うレベルには至っていないので、今がお買い得。小崎騎手についてはもう少し掘り下げたいので、次回狙いどころなどをまとめたいと思います。
~CBC賞展望~
今週末はハンデの1200m重賞・CBC賞です。今年もかなりの混戦模様で、波乱含みの一戦といえそう。