Mの法則でお馴染みの今井雅宏氏と当サロン主催・亀谷敬正との師弟トークコラム『今井雅宏×亀谷敬正 ~トレンド種牡馬トーク~』。馬券的に美味しい種牡馬の解説、馬券的な活用方法などをデータを交えながら説明いたします。
第12回目のトークテーマはオルフェーヴル。師弟によるディープな競馬トークをお楽しみください!
亀谷敬正(以下、亀):オルフェーヴルは不思議な種牡馬ですね。いろいろな条件を走る多様性を持っていますが、基本的には王道条件に強いのが特徴だと考えています。他のステイゴールド系産駒は、タフな馬場や持久力勝負に強く、主流スピードが問われにくい非根幹距離を得意とするのが基本なのですが。
今井雅宏(以下、今):前回も話題になった根幹質、日本スピードという話だよね。データを見ると1800mや1400mの勝率が高くて非根幹距離で走っているけど、ただ肝心のところ、相手が強くなると根幹距離で強いんだ。
これはC系全般の特徴でもあるんだけど、軽いレース質だと根幹距離は走りやすく設定されている条件のぶん、単調過ぎていまいちフィットしないんだよね。だけどタフなレース質になると、根幹距離で強さを見せる。相手強化とか、多頭数の激戦とかだと、根幹距離の競馬にピタリと嵌まってくるわけだ。
亀:データだけでは見えてこない世界ですよね。その馬の本質がそこにある。オルフェーヴルが根幹距離で結果を出しているのは、ノーザンファーム生産馬が多いことも影響しています。前回のキンシャサノキセキでは、ノーザンの生産育成が芝の短距離ではマイナスに作用していましたが、オルフェーヴルにはちょうど上手くフィットしてくるわけです。
今:それはノーザンも場長さんも嬉しいだろね(笑)。
亀:初年度産駒で皐月賞を勝ったエポカドーロが印象的だったので、それに引っ張られやすいのですが、あの馬はどちらかというと例外的で、本質は直線の長いコースで強い王道系の血統になりますよ。軽い馬場の根幹距離で強いという。
今:エポカドーロは確かに異端だよね。硬さがあって、強引なパワーレースで押し切る。MのS質が強い産駒だったよ。どの種牡馬にもあることだけど、初年度産駒は少しエネルギーの発露に極端なところが出やすい。そのぶん破壊力、突破力があるとも言えるんだけどね。この間話したヘニーヒューズの初年度産駒レピアーウィットと同じパターンになるよ。
亀:「レピアーウィットは凄い揉まれ弱かったけど、それに騙されると駄目だ」という話でしたね。ヘニーヒューズは基本的に揉まれ強いと。
今:エルムSのフルデプスリーダーも中枠だったけど、上手くロスなく馬群に入れたから勝てた。枠なりに外を回ったらアウトの流れだったよ。馬群を割れるんで、差し馬は内しかに間に合わないような緩い流れをロスなく回る形が、しぶとさを活かせて合う。
亀:その辺りはオルフェーヴルと同じなわけですね。オルフェーヴルは馬群でもめげずに走れますから。芝だと内枠の好走率が高いですしね。
▼オルフェーヴル産駒 芝の枠別複勝回収率
今:4枠以内は全て複勝回収率で80%を超えるけど、5枠以降はガクンと数字が落ちるよね。