毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・菊花賞回顧、ドゥレッツァの今後について
・富士S回顧、エターナルタイムの路線変更案
・アルテミスS回顧、チェルヴィニア今後のプラン
・マイルCS&東スポ杯2歳S出走馬最新情報
菊花賞回顧、ドゥレッツァの今後について
――天皇賞・秋については先週振り返っていただいたので、今週は菊花賞について伺います。ドゥレッツァ強かったですね。道中逃げる形で上がり最速ですか。
木實谷:2走前のホンコンJCT、前走の日本海Sと、レース後は順調に乗り込み量を増やすことができていたので、それが競馬でのパフォーマンスアップに繋がったと思います。ここ2走は充実を感じていましたが、今回はこちらの感触以上という走りでした。
――皐月賞馬、ダービー馬を置き去りですからね。春時点で重賞に出ていても、普通に勝ち負けしたんじゃないかとも思いますけど。
木實谷:どうでしょうねぇ。春は予定に合わせて何とか使う感じでしたからね。この馬は4月24日の遅生まれですし。
――気になるのは次走ですが。
木實谷:まだ帰ってきたばかりなので、しっかり馬を見て、年内もう一走するのか、年明けになるのかを決めたいと思います。前述の通り、この馬は遅生まれで、まだまだ成長の余地を残していると感じていますので、大事に育てていきたいですね。
――ノッキングポイントの方は15着と残念な結果に終わりました。
木實谷:もう少しスムーズな展開だったら、入着以上はあったと思うのですが。向正面でハーツコンチェルトとダノントルネードの間が空いていたのですが、そこでジッとしている間に閉じてしまって、どんどん番手が下がってしまいましたね。前の馬に乗りかけてハミも外れてしまったので、まともに走れませんでした。個人的に敗因は距離ではないと思っています。
富士S回顧、エターナルタイムの路線変更案
――菊花賞前日の富士Sではレッドモンレーヴが2着に好走しました。
木實谷:直前の追い切りの感じからも、次に向けてちょっと余裕を持たせた仕上がりに感じたので、改めて能力の高さを感じました。
――一方、2人気に推されたエターナルタイムは6着でした。
木實谷:追い切りの動きもすごく良かったですし、良い状態で向かえたかなとは思うのですが、ちょっと危惧していた通り、少し距離が長かった印象ですね。
――となると今後はスプリント路線も視野に入るのでしょうか。
木實谷:そうですね。クラスが上がると適性の差が出てきますので、少し距離を縮めてみようかなと思っています。今回のハイペースでも楽な感じで追走できていましたし、スピード能力はかなり高いものを持っているはずです。
――それは楽しみな路線変更ですね。続いて、翌週のスワンSは1人気に推されたアヴェラーレが7着でした。状態はどうだったのでしょうか。
木實谷:直前輸送の影響があったのかは分かりませんが、中間は単走で11.0秒という時計が出ていて動きも良かったですし、残念な結果になってしまいました。
――川田騎手はノーザンファーム天栄調整馬での成績が悪いのですが、今回のアヴェラーレもゲートを出てからのリズムが悪いように見えました。次走はマイルCSでしょうか?
木實谷:いえ、年内は休養です。年明けの京都金杯を選択肢の1つに入れつつ、この馬に合う番組を選んでいこうと思います。
――インダストリア(8着)については?
木實谷:残り100mあたりから走りがバラバラになったのは心配ですけど、結果的に内を通った馬しか来てないですからね。インダストリアは外々を回って、進路を変更するシーンで逆手前になってしまった部分もあったので。
アルテミスS回顧、チェルヴィニア今後のプラン
――同日の東京・アルテミスSではチェルヴィニアが見事に勝利しましたが、戦前のお話では状態としてはそんなに良い訳ではないとのことでしたが。