プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“逃げ先行馬の消耗度は時計では測れない”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月3日 京都11R 天皇賞・春 芝3200m
天皇賞・春は京都芝3200mで施行。初角となる3コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける有利不利はありません。
登録18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。長距離戦にしては先行馬が揃った印象で内枠がベター。道中内で脚をためられる形がよさそうです。
1番人気想定はアドマイヤテラ。一昨年の菊花賞3着馬で前走の阪神大賞典は0.5秒差の完勝。淀の長距離を知り尽くしている武豊騎手が手綱を取るのは非常に心強いですし、3コーナーの坂を利用して動けそうな脚質もいいでしょう。ただ、G1を勝っていない身で、クロワデュノールと並び、あるいはそれ以上の人気となると、さすがに過剰に映ります。
2番人気想定はクロワデュノール。大外枠からねじ伏せた大阪杯は「強い」の一語でした。実績は最上位で、歴史的名馬になる可能性も秘めています。それを考えると、2番人気・2.8倍はむしろ甘いぐらいかもしれません。並みいる名手たちを相手に、北村友一騎手がどうエスコートするか注目ですね。
3番人気想定はヘデントール。一昨年の菊花賞2着馬で、ディフェンディングチャンピオンです。長距離では現役最強クラスの実績があり、連覇に狙いを定めていることでしょう。勝率はアドマイヤテラと同程度ぐらいある印象なので、5.3倍というオッズはアドマイヤテラ比較で甘く感じます。
4番人気想定スティンガーグラスは前走のダイヤモンドSで重賞初制覇。長距離適性の高さは疑いようがありません。ただ、G3勝ちのみで、さすがに上位人気想定の3頭とは差がある印象です。豊富なスタミナとレーン騎手の手綱捌きでどこまで迫れるか。
5番人気想定はアクアヴァーナル。こちらは2走前に万葉Sを勝ち、前走の阪神大賞典が2着。やはり実績で上位と見劣るのは否めません。あのオルフェーヴルでも敗れたレースで、競馬は何があるかわかりませんが、馬柱からはクロワデュノールを負かすイメージは浮かびません。
面白そうなのはシンエンペラーでしょうか。ジャパンカップ2着、ダービー3着の実績は、上位勢にヒケを取りません。海外遠征と国内G1の連戦で馬柱は目立ちませんが、その分、期待値が積まれていそうです。
タガノデュードは前走の大阪杯で13-13-12-7から0.3秒差の4着。G1で捲りを打っての僅差は価値があります。豊富なスタミナを感じさせる内容だけに、3200mで新味が出る可能性も十分あるでしょう。
ステイヤーズS勝ちのホーエリート、常に人気薄のエヒト、長距離重賞で2戦続けて僅差のヴェルテンベルクあたりは、それぞれ8番人気、9番人気、10番人気なら期待値はありそうです。
長距離戦は仕掛けひとつで展開が変わりますが、比較的道中で動いていける馬が多く、有力馬が牽制し合わなければ差し・追い込みタイプに展開が向きそう。あとは枠と並び次第ですね。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言230
逃げ先行馬の消耗度は時計では測れない
★ピックアップレース★
4月19日 中山11R 皐月賞 芝2000m良
◎15リアライズシリウス
高○9ライヒスアドラー
穴▲2サウンドムーブ
高△12グリーンエナジー
☆1カヴァレリッツォ
☆8マテンロウゲイル
注4ロブチェン
注11パントルナイーフ

―今回は4月19日の皐月賞を取り上げます。注→◎→○の決着で3連複10420円の万馬券になりました。また、◎→○のワイドは23.1倍です。
みねた)いやぁ、ロブチェンが頑張り過ぎですよね(笑)。リアライズシリウスの津村騎手は完璧に乗ってくれましたし、普通はああして外から被せて交わされたらやる気をなくすものなのですが、まさか差し返されるとは!
―共同通信杯ではロブチェンを◎にされていましたよね。抜群のスタートを切ったのに4番手に控えて、前をいくリアライズシリウスを捕らえきれず、「そのままハナでよかったのに」と嘆き節だったような。
みねた)結果的に、あのレースが今回の勝利に繋がりましたね。前走で前を捕らえ切っていたら、それは好騎乗だと讃えられて、今回も控える競馬になっていたでしょう。無理にでも控えた前走があったから、今回の逃げが意表を突く戦法になったという側面もあります。ちょっとしたことで結果が動く。馬券的には悔しいですが、この機微こそが競馬の面白さでもありますよね。
―ロブチェンが控えていたら、結果は変わっていましたか?
みねた)1.56.5という超高速決着ですから、道中でラチ沿いピッタリを走るアドバンテージは非常に大きかったですよね。もしロブチェンが控えていたら、リアライズシリウスが先頭まで出し切っていたと思うので、この馬が内を閉めてロブチェンが外を回す形になるでしょう。着差を考えるとリアライズシリウスとロブチェンの着順はひっくり返っていた可能性が高いとは思います。タラレバになってしまいますが。
―着順が入れ替わっていれば3連単479.8倍まで手が届いていました。
みねた)それでもこのレースであれば3連複は1頭軸の相手7頭なので21点で104.2倍、ワイドは「高」「穴」のついている3頭へ流して23.1倍ありました。それぞれ500%と700%の回収率が出ているので十分です。回収率だけみたらワイドに絞るのが正解となりますが、実際に正解かと言われたらそこは紙一重。結局は「資金による」としか言いようがありません。
―資金が潤沢にあれば、迷うことなく3連単まで推奨買い目通りに買えばいいですよね。
みねた)少し買い方の話をすると、基本的に◎が頭まで突き抜けると大きく回収できるイメージで馬券を組んでいます。だから資金が豊富にあるなら、いわゆる“跳ね待ち”で3連単を買った方がいいでしょう。実際に、フラワーCや高松宮記念は3連単が回収額を大きく押し上げています。ただ、3連単は回収率こそ出るものの資金が少ないともたない馬券なので、そうであるならば◎の単複であったりワイドや3連複中心にするのが良いでしょう。一番ダメなのは、資金がないのに3連単“だけ”を買うことです。
―では具体的な予想の思考について伺いたいのですが、◎はリアライズシリウス。
みねた)私の使っているAIでS評価ですし、高期待値馬にも該当していたので、4番人気にとどまるのであれば迷いなく◎です。本来、G1では距離延長ローテが不利になりやすいのですが、先行馬(前走の通過順位に3番手以内がある馬)が18頭中3頭、すなわち先行馬占有率17%という低い一戦で、距離延長が不利にならないメンバー構成でした。皐月賞も含めて、この馬は道中2番手以内を取れた時は全て馬券に絡んでおり、唯一、馬券外だったのが4番手から運んだ朝日杯FS。道中の位置取りが重要なタイプのように見受けられ、楽に先行することを考えると、距離はある程度あった方が良さそうですね。
―それにしても1.56.5という超絶タイムを番手から運んで僅差の2着ですから、強い内容ですよね。
みねた)確かに強い馬であることは間違いありませんが、時計が速い=厳しいレースとは言い切れません。逃げ先行馬の消耗度は時計じゃないんですよね。時計だけみるとハイペースの消耗戦でタフな戦いに映りますが、先ほど申し上げた通り、先行馬は3頭だけ。逃げ馬の消耗度というのは、「いかに他の馬と競らずに走れるか」が大事なんです。少々ペースが速くても競り合っていなければいい。私が先行馬をカウントする意味もそこにあります。
―先行馬の数をみて、前に行く馬の消耗度を予測する、と。
みねた)そうですね。先行馬の数が多いと、スタート後に同型脚質同士でぶつかり合う可能性が高まります。また、前回のコラムで取り上げた四国新聞杯の解説でも「今回は先行馬が1番、4番、7番とバラけて配置されたので接触のリスクは少なく、スムーズに先行可能であることは予見できました」と言いましたが、これも同じ。先行馬について考えるなら、先行馬の数と配置をチェックするのが基本です。
―18頭中3頭しか先行馬がおらず、その先行馬が並んで配置されていなかった。これもまた、リアライズシリウスを狙う後押しになったわけですね。
みねた)もし18頭中10頭が先行馬で、その先行馬が内枠にズラっと並んでいるというレースだったらどうなっていたか? この場合、「スタート後に接触した上に、外の3番手止まり」みたいなパターンが十分に想定されます。
―実際には、先行馬が少なかったこともあり、特に競り合うこともなく、気づいたらスンナリ2番手にいましたもんね。では続いて対抗評価のライヒスアドラーについて教えてください。
(次回に続く)
