競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「京都芝の枠順」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
先週火曜日、久しぶりに東京競馬場へ行き、芝コースを取材してきました。着いたのはちょうど芝刈作業が始まったタイミングで、作業員の皆さんが黙々と作業をしていましたよ。
芝は最盛期だと野芝が1週間で2~3センチくらい、洋芝は1日に1~2センチ伸びますから、洋芝がほとんど生長しなくなる真冬以外は毎週、芝刈作業が必要になります。ですから、東京競馬場では例年11月末くらいまでは毎週、芝刈を行っています(おそらく今週も火曜日に芝刈をすると思います。芝刈をしたかどうかは、金曜日にJRAホームページの馬場情報に掲載されます)。
芝刈の機械は2種類あり、ひとつは“手押しタイプ”で、作業員さんが手で押しながら刈っていく方法。もうひとつが野芝のみを使用している競馬場でよく使われる“大型の芝刈機"です。夏の新潟競馬場のように、野芝のみの場合はこの大型機を入れますが、洋芝や野芝に洋芝をオーバーシードした馬場にこの機械を入れると芝に負担がかかってしまうため、手押しタイプを使用します。ということで、ほとんどの競馬場では人海戦術で芝を刈っているんですよ。
念のため、補足しておきます。芝刈が行われると、その影響で時計が速くなると思う人がいるのですが、因果関係はありません。アメリカの研究結果によると、“草丈の長短と馬の蹄への衝撃には相関がない。蹄への衝撃を主に左右するのは芝の路盤の水分量"となっています。
話を東京競馬場に戻します。東京競馬場では年間を通してオーバーシードの馬場なので、手押しタイプの芝刈機を使用。作業は1人で馬場を5~6周するとのことで、けっこう重労働です。こんな日々の作業が馬場の状態を保っているんですね。
そしてこの日、東京競馬場の馬場担当者に芝の状態を聞くことができました。『今年の夏はとても暑かったですよね。その影響で野芝の状態が例年以上に良く、開催が進んでも野芝がかなり残っています』と話していました。先週からCコースに替わりましたが、取材に行った日にはすでに移動柵がCコースの場所に変わっており、傷んだ箇所もカバーされていました。まだまだ野芝の匍匐茎(ほふくけい)が残っており、確かに良い状態だなと感じました。
そんな状況で迎えた先週の芝コース。17日(金)に39.5ミリの雨が降りましたが、さすが排水性の良い東京芝コース。土曜は芝のレースが始まる前に良に回復していました。先週は土日で13鞍の芝レースが行われ、