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栗山求の海外競馬トピックス
2021/09/17 (金)

愛チャンピオンS、英セントレジャー、ヴェルメイユ賞/栗山求の海外競馬トピックス

9月11日、愛レパーズタウン競馬場で行われた愛チャンピオンS(G1・芝10ハロン)は、4頭立ての3番手を追走した3歳牡馬 St.Mark’s Basilica がゴール前の追い比べからわずかに抜け出して快勝。昨年10月のデューハーストSからG1ばかり5連勝を達成した。(※レース映像)

調教中の外傷によりインターナショナルS(英G1)を回避。その影響で今回は100%のデキではなかったのかもしれない。勝つには勝ったが、2着Tarnawaとはわずか3/4馬身差で、3着Poetic Flareはそこからハナ差。きわどい勝利だった。なおかつ、最後の直線で、外から伸びようとする2着タルナワの進路に被せていく形となり、審議となった。逆にいえば、次走へ向けての上積みは大きいといえるかもしれない。

2着に敗れた Tarnawa は不利を受けての僅差2着ということで、レース後に評価が急上昇。昨年秋、ヴェルメイユ賞→オペラ賞→ブリーダーズCターフとG1を3連勝した名牝で、凱旋門賞を勝つだけの能力は備えている馬。ブックメーカーによっては1番人気に推すところもある。

勝った St.Mark’s Basilica は、一昨年の英2000ギニー馬Magna Greciaの半弟。母Cabaretは2歳時に芝7ハロンの愛G3を勝った経験があり、繁殖牝馬として大成功を収めた。父Siyouniは現時点におけるフランス最良の種牡馬で、2020年にはSottsass(凱旋門賞)の活躍により仏チャンピオンサイアーとなった。SottsassとSt Mark’s Basilicaは、いずれも「Siyouni×Galileo」という組み合わせで、Nureyev≒Sadler’s Wells 4×3という4分の3同血クロスを持っている。「Galileo×Pivotal×デインヒル」の Love (カルティエ賞最優秀3歳牝馬)を、父母ひっくり返したような配合構成だ。

次走は凱旋門賞(G1)の可能性も残されているが、2400mは未経験だけに、現時点では英チャンピオンS(G1・芝9ハロン212ヤード)に出走する可能性が高いと思われる。

愛チャンピオンSの同日、英ドンカスター競馬場で行われた英セントレジャーS(G1・芝14ハロン115ヤード)は、中団追走の Hurricane Lane が残り400mで先頭に立ち、後続に2・3/4馬身差をつけて1番人気に応えた。(※レース映像)

これで愛ダービー、パリ大賞に続いてG1を3連勝。昨年10月のデビュー以来、英ダービーでAdayarの3着と敗れた以外はすべてのレースを勝っている。通算成績は7戦6勝。父Frankelは通算14戦全勝の名馬。種牡馬としても成功し、今年7月に死んだ大種牡馬ガリレオの最良の後継種牡馬となっている。英ダービーとキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制したAdayar、一昨年の英オークスを勝ったAnapurna、同じく一昨年の英セントレジャーを勝ったLogicianと、ここにきてクラシックウィナーを連発している。

クールモアの種牡馬ではないので、繁殖牝馬の質という点では父に及ばないが、それでいてこれだけの成績を残しているのは立派だ。今年、父Galileoを引きずり降ろして英愛リーディングサイアーの座につくのは確定的。

母Gale Forceは重賞勝ちこそないものの、フランスで芝3100mのリステッドレースを勝ち、イギリスでは芝16ハロンのリステッドレースで3着となった。「父Frankel、母の父にMonsunを含んだドイツ血統が入る」、という配合構成はソウルスターリング(オークス、阪神JF)に似ている。

同じ3歳、同じくゴドルフィンが所有し、同じアップルビー厩舎に所属するAdayarが、現在凱旋門賞の前売り1番人気となっている。ブックメーカー各社の人気を見ると、Hurricane Laneは2~3番人気。ダービーでは負かされてしまったが、ひと夏を越しての成長力で逆転できるかどうか。

9月12日、仏パリロンシャン競馬場で行われたヴェルメイユ賞(G1・芝2400m)は、好位のインを追走したTeonaが後続に1馬身半差をつけて重賞初制覇を飾った。(※レース映像)

圧倒的人気に推されたディープインパクト産駒Snowfallは2着。同馬の上がり3ハロンは34秒16だが、このレースは上がり2ハロンの究極の上がり勝負で、ラスト3ハロンの最初の1ハロンは12秒台後半だった。したがって、後方待機組にとっては数字以上にキツいレースだった。本番がこのような流れになることはまずないので、巻き返しは可能だろう。

勝った Teona は「Sea the Stars×Authorized」という組み合わせ。それに加えて2代母の父はDarshaanなので、スタミナに強みがある。父Sea the Starsは大種牡馬Galileoの半弟で、凱旋門賞、英ダービー、英2000ギニーなど6つのG1を制覇した名馬。これまでにHarzand(英ダービー、愛ダービー)、Taghrooda(英オークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Star Catcher(愛オークス、ヴェルメイユ賞)、Sea of Class(愛オークス、ヨークシャーオークス)、Stradivarius(アスコットゴールドC3回)など、スタミナを武器とする大物を出している。Teonaは晩成型なのでこれから強くなっていきそうだ。

9月15日現在の凱旋門賞の前売りオッズ(英ブックメーカーbet365)は以下のとおり。

・Tarnawa(4倍)
・Adayar(4.5倍)
・Snowfall(4.5倍)
・Hurricane Lane(5.5倍)
・Mishriff(10倍)
・St Mark’s Basilica(13倍)
・クロノジェネシス(13倍)
・Teona(13倍)
・ディープボンド(17倍)
※以下略

St Mark’s Basilicaは9月11日の愛チャンピオンS(G1・芝10ハロン)に出走予定。その後、凱旋門賞へ進むかどうかは、現時点で陣営からアナウンスがない。

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栗山求 近影

栗山求

1968年生まれ。大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌『週刊競馬通信』にコラム「血統SQUARE」を7年間連載しつつ編集長を務める。1997年に退社後はフリーランスに。編集者や執筆者として携わった雑誌・書籍は数知れず。2010年に株式会社ミエスクを立ち上げて代表取締役に就任。翌年から血統・配合の競馬総合サイト『血統屋』の運営を開始し、牧場・馬主向けの配合コンサルタント業を本格化させる。2012年から『パーフェクト種牡馬辞典』(自由国民社)を望田潤氏らと共同執筆で上梓。2016年に『血統史たらればなし』(KADOKAWA)を刊行。月刊誌『優駿』(JRA)やクラブ法人の会報各誌に連載を持ち、『KEIBAコンシェルジュ』(グリーンチャンネル)などのテレビ出演もこなす。

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