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栗山求の海外競馬トピックス
2021/10/03 (日)

チェヴァリーパークS、ミドルパークS、シャンペンS/栗山求の海外競馬トピックス

今回は主要な2歳戦を振り返ってみたい。

9月25日、英ニューマーケット競馬場で行われたチェヴァリーパークS(英G1・芝6ハロン)は、ゴール前でニアサイドから鋭く追い込んだTenebrismがFlotusをとらえて優勝した。通算成績は2戦2勝。 (※レース映像)

5月にアイルランドのネース競馬場でデビュー戦(芝5ハロン)を快勝。4ヵ月の休養を挟み、復帰戦にG1を選んだところ、鮮やかに差し切ってモノの違いを見せつけた。ブックメーカー“bet365″による来年の英1000ギニー前売りオッズは、Inspiral(英G2メイヒルSなど3戦全勝)に次ぐ2番人気となっている。

父Caravaggioはこの世代が初年度産駒。早世したScat Daddyの代表産駒の1頭で、現役時代にイギリスで2つのスプリントG1を制覇した。プルパレイ(アスター賞)の叔父にあたる。アイルランドのクールモアスタッドに繋養され、同国の2歳種牡馬ランキングで首位を走っている。イギリスではこの勝利で順位を上げ、2歳種牡馬ランキングで14位、ファーストシーズンサイアーランキングで4位となっている。上々の滑り出しだ。

母Immortal Verseは、コロネーションS(英G1・芝8ハロン)、ジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)の勝ち馬。ラストタイクーンの近親で、父はブルードメアサイアーとしてきわめて優秀なPivotal。そしてImmortal Verse自身にはNureyev≒Sadler’s Wells 3×2という4分の3同血クロスが施されている。これらが評価され、2013年の英タタソールズディセンバー繁殖セールに上場されると、470万ギニー(約7億5000万円)というヨーロッパ新記録の高値でクールモアスタッドに落札された。ただ、これまでに産んだ3頭の牡馬はいずれも成績的にもうひとつ。高すぎる買い物だったのでは……という見方もあったが、4番仔の牝駒Tenebrismがついに大仕事をやってのけた。


クールモアスタッドにとっては、早く大物産駒が欲しかった父母それぞれの願いを同時に叶えたTenebrismは、まさに宝物のような存在だろう。とくに母Immortal Verseを大枚をはたいて購入しながら、後継繁殖牝馬がなかなか現れなかったので、牝馬のG1馬が誕生したことは牧場経営にとっても大きな意味がある。父Caravaggioは、Sadler’s Wellsもデインヒルも持たない配合構成なので、クールモアスタッドの繁殖牝馬の配合構成を考えると大いに使える種牡馬だろう。

チェヴァリーパークSと同日、同競馬場で行われたミドルパークS(英G1・芝6ハロン)は、後方追走のPerfect Powerがファーサイドから鋭く伸びて快勝。ドーヴィルのモルニ賞(仏G1・芝1200m)に続いてG1連勝を果たした。6月のノーフォークS(英G2・芝5ハロン)を含めて重賞3勝目。(※レース映像)

父ArdadはフライングチルダーズS(英G2・芝5ハロン)を勝った程度の競走馬で、種付け料は4000ポンド(約60万円)とかなり安め。にもかかわらず、初年度産駒からPerfect PowerだけでなくEve Lodge(英G3シレニアS)、Vintage Clarets(英G2コヴェントリーS-3着)などを送り出し、イギリスのファーストシーズンサイアーランキングで首位に立っている。同国の2歳種牡馬ランキングはMehmas、Dark Angelに次いで第3位。仕上がり早でスプリント戦に特化したデインヒル系としてこれから人気が盛り上がりそうだ。Perfect Powerは短距離の追い込み馬だった父によく似ている。

母Sagelyは、ジャン=リュック・ラガルデールが育てたファミリーにルーツを持ち、3代母Saga d’Ouillyは凱旋門賞馬Sagamixの全妹にあたる。

ブックメーカー“bet365″による来年の英2000ギニー前売りオッズは4番人気タイ。もうひとつ人気が上がってこないのは、スプリンターと判断されているからだろう。

日本時間の10月3日朝、米ベルモントパークで行われたシャンペンS(G1・ダート8ハロン)は、1番人気Jack Christopherが2番手追走から楽々と抜け出して勝ち、戦績を2戦2勝とした。(※レース映像)

8月28日、サラトガのデビュー戦(ダート6ハロン)を後続に8・3/4馬身差をつけて楽勝。その勝ちっぷりの良さから、今回はG1勝ち馬Gunite、G3勝ち馬Witなどを抑えて1番人気に推されていた。

父MunningsはSpeightstownの初期の活躍馬で、G1勝ちこそないもののG2を2勝している。2008年のシャンペンSで2着と敗れているので、息子のJack Christopherは父の雪辱を果たしたことになる。産駒はコンスタントに走っており、2020年の北米サイアーランキングは5位、今年は4位と、トップクラスに定着している。母の父にHoly Bull(1994年の米年度代表馬)を持つ点は前出Tenebrismの父Caravaggioと同じ。

母Rushin No Blushinの半兄にStreet Bossがいる。母方にUnbridledを持つ配合は父のニックスだが、これはHoly Bullの父Great AboveがUnbridledとよく似た配合構成であることが理由だろう。

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栗山求 近影

栗山求

1968年生まれ。大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌『週刊競馬通信』にコラム「血統SQUARE」を7年間連載しつつ編集長を務める。1997年に退社後はフリーランスに。編集者や執筆者として携わった雑誌・書籍は数知れず。2010年に株式会社ミエスクを立ち上げて代表取締役に就任。翌年から血統・配合の競馬総合サイト『血統屋』の運営を開始し、牧場・馬主向けの配合コンサルタント業を本格化させる。2012年から『パーフェクト種牡馬辞典』(自由国民社)を望田潤氏らと共同執筆で上梓。2016年に『血統史たらればなし』(KADOKAWA)を刊行。月刊誌『優駿』(JRA)やクラブ法人の会報各誌に連載を持ち、『KEIBAコンシェルジュ』(グリーンチャンネル)などのテレビ出演もこなす。

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