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栗山求の海外競馬トピックス
2021/11/18 (木)

ブリーダーズCクラシック、ターフ/栗山求の海外競馬トピックス

11月5、6日、アメリカ西海岸のデルマー競馬場でブリーダーズCが行われた。2日間にG1を13レース、G2を1レース行うアメリカ競馬の祭典。レース数が多いので4回に分けていくつかのレースを振り返ってみたい。

■BCクラシック(G1・ダ10ハロン)

マイペースで逃げた2番人気Knicks Goが、Medina Spirit、Essential Quality、Hot Rod Charlieなどの3歳勢の追撃を抑え、古馬の貫録を見せつけた。(※レース映像)

米メリーランド州で生産され、2歳秋にブリーダーズフューチュリティS(G1・ダ8.5ハロン)を勝ったものの、その後は低迷し、翌3歳時は勝てずじまい。4歳から腕利きのブラッド・コックス調教師が管理するようになると、ブリーダーズCダートマイル(G1・ダ8ハロン)、ペガサスワールドC(G1・ダ9ハロン)を含めて4連勝と復活。その後、2連敗を喫したものの、7月のコーンハスカー(G3・ダ9ハロン)から再び4連勝で頂点を極めた。年度代表馬のタイトルはほぼ確実だろう。

父Paynterは、Awesome Againを経てDeputy Ministerにさかのぼる父系に属している。現役時代にハスケル招待S(G1・ダ9ハロン)を勝った。その母Tizsoは米年度代表馬で種牡馬としても成功したTiznowの全姉。Tiznowは、三冠馬コントレイルやコマンドライン(サウジアラビアRC)、ストロングタイタン(鳴尾記念)などの母方に含まれている。Man o’Warのサイアーラインを伝える数少ない名馬だ。

Tizso(とTiznow)の全妹Tizamazingは、プリークネスS(G1・ダ9.5ハロン)を勝ったOxbowを産んだ。Oxbowの父はPaynterの父と同じAwesome Againなので、OxbowとPaynterは父が同じで母同士が全姉妹。つまり、血統構成は同一となる。Oxbowは今回4着だったHot Rod Charlie(米G1ペンシルヴェニアダービー)を出している。Tiznowと、その全きょうだいから誕生したPaynterとOxbow。これらの血は今後、アメリカ血統のなかでささやかながらひとつの極を形成するかもしれない。


■BCターフ(G1・芝12ハロン)

4コーナーで先頭に立ったBroomeを、大外から鋭く伸びた3歳セン馬Yibirが半馬身とらえた。昨年の覇者で前走の凱旋門賞(G1・芝2400m)では2着と健闘したTarnawaは、疲れがあったのか1番人気を裏切って10着と敗れた。(※レース映像)

Yibirはイギリス産馬。ゴドルフィン専属のチャーリー・アップルビー厩舎に所属し、今回がG1初制覇となる。この世代のゴドルフィンは優秀で、Adayar(英ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベス二世S)、Hurricane Lane(愛ダービー、英セントレジャー、パリ大賞)という二枚看板がヨーロッパ競馬を暴れ回った。Yibirはそれらの陰に隠れ、7月のバーレーントロフィーS(英G3・芝13ハロン)でひっそりと重賞初制覇を飾った。

続くゴードンS(英G3・芝11ハロン218ヤード)は6着と敗れたものの、8月、ヨークのグレートヴォルティジュールS(英G2・芝11ハロン118ヤード)を快勝。このあとアメリカへ渡り、一般戦のジョッキークラブダービー招待S(芝12ハロン)を勝ち、4番人気でブリーダーズCターフに臨んだ。「Dubawi×Monsun」という、いかにも芝12ハロンに強そうな血統背景と、ビュイック騎手の巧みなペース判断が勝因だろう。

父Dubawiはダーレーのエース種牡馬。英ニューマーケットのダルハムホールスタッドに繋養され、ヨーロッパではクールモアのGalileoに次ぐ優秀な成績を残してきた。Postponed(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英インターナショナルS、ドバイシーマクラシック)、Night of Thunder(英2000ギニー、ロッキンジS)、マクフィ(英2000ギニー、ジャックルマロワ賞)、モンテロッソ(ドバイワールドC)、Prince Bishop(ドバイワールドC)、Wuheida(BCフィリー&メアターフ、マルセルブサック賞)、New Bay(仏ダービー)、Space Blues(BCマイル、モーリスドゲスト賞)、Al Kazeem(エクリプスS、プリンスオブウェールズS)、Lucky Nine(香港スプリント)など多くの活躍馬を出している。

今回のブリーダーズCでは、BCジュヴェナイルターフ(G1・芝8ハロン)のModern Games、BCマイル(G1・芝8ハロン)のSpace Bluesと合わせて3頭の優勝馬を出すという快挙を成し遂げた。

母方にDashing Bladeが入り、Shirley Heightsクロスが生じる配合は、英インターナショナルS(G1・芝10ハロン88ヤード)を勝ったArabian Queenと似ている。もともとDubawiは、Shirley Heightsクロスがニックスで、他にもToo Darn Hot、Al Kazeem、Space Blues、Wuheida、Left Hand、Sobetsu、Hunter’s Lightなどがこのパターンから誕生している。

Yibirは、仏英でG1を3勝した名牝Wild Illusion(ナッソーS、オペラ賞、マルセルブサック賞)を全姉に持つ。血統的に奥が深いので来年も12ハロン路線で楽しみな存在だ。セン馬なのでひたすら走り続けるしかない。

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栗山求 近影

栗山求

1968年生まれ。大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌『週刊競馬通信』にコラム「血統SQUARE」を7年間連載しつつ編集長を務める。1997年に退社後はフリーランスに。編集者や執筆者として携わった雑誌・書籍は数知れず。2010年に株式会社ミエスクを立ち上げて代表取締役に就任。翌年から血統・配合の競馬総合サイト『血統屋』の運営を開始し、牧場・馬主向けの配合コンサルタント業を本格化させる。2012年から『パーフェクト種牡馬辞典』(自由国民社)を望田潤氏らと共同執筆で上梓。2016年に『血統史たらればなし』(KADOKAWA)を刊行。月刊誌『優駿』(JRA)やクラブ法人の会報各誌に連載を持ち、『KEIBAコンシェルジュ』(グリーンチャンネル)などのテレビ出演もこなす。

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