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栗山求の海外競馬トピックス
2021/12/09 (木)

ブリーダーズCディスタフ、フィリー&メアターフ/栗山求の海外競馬トピックス

11月5、6日、アメリカ西海岸のデルマー競馬場でブリーダーズCが行われた。今回振り返るのは日本馬が勝ったディスタフとフィリー&メアターフ。

■ディスタフ(G1・ダ9ハロン)

勝ったマルシュロレーヌは北海道安平町のノーザンファーム生産馬。初勝利を挙げるまでに5戦を要したスロースターターで、未勝利戦が終了する直前の3歳8月に勝ち上がった。それを含めて芝で3勝を挙げたあと、昨年9月にダート転向。これが功を奏し、それ以降、今年の帝王賞(Jpn1)で8着と敗れた以外、すべてのレースで馬券圏内に食い込む活躍を見せている。(※レース映像 )

日本産馬がアメリカのダートG1を制したのは2018年のYoshida(父ハーツクライ)以来3年ぶり。日本産馬かつ日本調教馬の米ダートG1制覇は史上初となる。ブリーダーズCディスタフは、1984年の創設以来、アメリカ産馬以外の勝利は、アルゼンチン産馬4回(Bayakoa2回、Paseana、Blue Prize)、カナダ産馬1回(Dance Smartly)だけ。つまり、南北アメリカ大陸以外で産まれた馬は一度も勝っていない。ヨーロッパからのチャレンジも退けてきた厚い壁を、日本馬がついに突き崩した。芝競馬がメインのわが国で誕生し、日本よりもはるかにレベルの高いアメリカの、最も格の高いG1を制覇したのは歴史的快挙といえる。

父オルフェーヴルは現役時代に三冠を制覇したほか、フランスでフォワ賞(G1・芝2400m)を連覇し、凱旋門賞(仏G1・芝2400m)でも連続2着している。2代父ステイゴールドは香港ヴァーズ(G1・芝2400m)とドバイシーマクラシック(G2・芝2400m)を勝った。海外遠征で力を出せる系統だ。

母ヴィートマルシェはこれまでJRAでデビューした7頭の産駒がすべて2勝以上を挙げている。2代母キョウエイマーチは桜花賞馬で、ダンシングブレーヴ産駒だが、その母の父ブレイヴェストローマンの影響により非凡なダート適性を備えていた。母の父フレンチデピュティを含めて母方の血はパワーにあふれ、父オルフェーヴルも連対率ベースで見ると芝よりもダートのほうが上。ダート適性の高さを感じさせる血統だ。

日本とアメリカのダートは同一ではない。この血統がアメリカのダートにフィットした、と考えるべきだろう。マルシュロレーヌは芝で走っていた時代に芝2000m1分57秒9という持ち時計があった。パワーだけでなくスピードにも秀でたものがあり、それがアメリカのダートをこなした最大要因ではないかと思われる。3年前に米ダートG1を制したヨシダは芝適性の高いハーツクライを父に持ち、母がダート血統だった。芝で走れるスピードがなければアメリカのダートはこなせない。


■フィリー&メアターフ(G1・芝11ハロン)

好位4~5番手を進んだラヴズオンリーユーが直線で壁をこじ開けて快勝した。勝ちタイムは2分13秒87。(※レース映像 )

2005年にシーザリオがアメリカンオークス(米G1・芝10ハロン)を勝つなど、アメリカの芝中距離G1ではこれまで日本馬がしばしば善戦してきた。たとえば、日本を代表するクラスの大物がブリーダーズCターフ(米G1)に挑めば、必ず勝てるとはいわないまでも高確率で勝ち負けに持ち込めるだろう――というのはホースマンの共通認識であったはずだ。ただ、日本国内のビッグレースや凱旋門賞(仏G1)を捨ててまで挑むのは勇気のいることで、海外遠征に積極的な矢作調教師でなければ実現しなかったプランかもしれない。

ヨーロッパやドバイ、香港における日本馬の強さは世界的に知られており、今回はWar Like Goddess、Loveに次ぐ3番人気。馬群がタイトなため直線でなかなか進路が開かないロスがあったものの、少しスペースが開くと一気に伸びて突き抜けた。スペースが見つかった瞬間、速い脚を使ってこじ開けるように伸びたのは、瞬発力に秀でたディープインパクトの仔らしい特長だ。同じ父を持つジェンティルドンナやグランアレグリアもそうした脚を繰り出した名牝だった。

勝った ラヴズオンリーユーは マルシュロレーヌと同じく北海道安平町のノーザンファーム生産馬。ドバイターフ(首G1)を含めて重賞を3勝したリアルスティールの全妹にあたる。「ディープインパクト×Storm Cat」という組み合わせは、すでに国内外で9頭のG1勝ち馬が出ており、Study of Man(仏ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞、香港C)、リアルスティール(ドバイターフ)、キズナ(ニエル賞)など海外での活躍馬も目立っている。洋芝適性が高い配合だ。

その一頭である本馬は、クイーンエリザベス2世C(香G1・芝2000m)とブリーダーズCフィリー&メアターフを制覇。3代母が世界的名牝Miesque、2代母はKingmamboの全妹、そして自身はリアルスティールの全妹なので、繁殖牝馬としての価値は計り知れない。

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栗山求 近影

栗山求

1968年生まれ。大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌『週刊競馬通信』にコラム「血統SQUARE」を7年間連載しつつ編集長を務める。1997年に退社後はフリーランスに。編集者や執筆者として携わった雑誌・書籍は数知れず。2010年に株式会社ミエスクを立ち上げて代表取締役に就任。翌年から血統・配合の競馬総合サイト『血統屋』の運営を開始し、牧場・馬主向けの配合コンサルタント業を本格化させる。2012年から『パーフェクト種牡馬辞典』(自由国民社)を望田潤氏らと共同執筆で上梓。2016年に『血統史たらればなし』(KADOKAWA)を刊行。月刊誌『優駿』(JRA)やクラブ法人の会報各誌に連載を持ち、『KEIBAコンシェルジュ』(グリーンチャンネル)などのテレビ出演もこなす。

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