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栗山求の海外競馬トピックス
2022/09/04 (日)

連勝を「10」に伸ばしたバーイード/栗山求の海外競馬トピックス

デビュー時期は大きく遅れ、初出走は2021年6月7日。同じ3歳馬のAdayarが英ダービーを制した2日後だった。後方待機策から大外を突き抜けて快勝すると、連勝街道を走り出す。

無傷の3連勝で初めて重賞に臨んだ7月30日のサラブレッドS(英G3・芝8ハロン)は、馬なりで先頭に並びかけ、後続を一方的に突き放して6馬身半差の圧勝。レースを重ねるにつれて凄みが増してきたので、当時から最高レベルの評価を獲得していた。(※レース映像)

G1初挑戦となった9月5日のムーランドロンシャン賞(仏GI・芝1600m)は、初の海外レースでもあったが、Order of Australiaを相手に危なげなく快勝した。(※レース映像)

3歳のラストレースは、10月16日にアスコット競馬場で行われたクイーンエリザベス二世S(英GI・芝8ハロン)。通算成績10戦9勝の4歳牡馬Palace Pierはこれまでの相手とは格が違う大物で、Baaeedにとってデビュー戦以来となる1番人気以外での出走となった。レースは下馬評どおり人気2頭の一騎打ちとなり、外から伸びたBaaeedがクビ差先着して新マイル王の座についた。通算6戦全勝。(※レース映像)

父Sea the Starsは大種牡馬Galileoの半弟で、現役時代は通算9戦8勝。デビュー戦で4着と敗れたあと8連勝し、凱旋門賞(仏G1・芝2400m)、英ダービー(英GI・芝12ハロン10ヤード)、英2000ギニー(英GI・芝8ハロン)など、8ハロンから12ハロンまで幅広い距離で完璧な強さを見せ、カルティエ賞年度代表馬に選出された。

種牡馬としては半兄Galileoほどではないものの、ヨーロッパを代表する名種牡馬として活躍しており、これまでにHarzand(英ダービー、愛ダービー)、Taghrooda(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英オークス)、Star Catcher(愛オークス、ヴェルメイユ賞、英チャンピオンズフィリーズ&メアズS)など多くの大物を送り出している。10ハロン以上を得意としており、近年を代表する名ステイヤーStradivarius(グッドウッドC4連覇、アスコットゴールドC3連覇)の父でもある。

Sea the Starsの良さは、Sadler’s Wellsとその4分の3同血Nureyevを持たないこと。ヨーロッパにおけるこれらメジャー血脈を母方から自由に取り入れることができることがセールスポイントでもある。Baaeedの母Aghareedは、Nureyev≒Sadler’s Wells 3×4だ。

「Sea the Stars×Kingmambo」はCloth of Stars(ガネー賞、凱旋門賞-2着)と同じ。4代母Bashayerは英二冠馬Nashwan(バゴの父)の半妹で、5代母Height of FashionはBurghclere(ディープインパクトの2代母)の4分の3妹という名牝系に属しており、Baaeedの全兄HukumはコロネーションC(英G1・芝12ハロン6ヤード)の勝ち馬で、13ハロンを超えた重賞を3勝しているスタミナ自慢。Baaeedが距離をこなす素地はある。

それを証明したのは4歳時の歩みで、ロッキンジS、クイーンアンS、サセックスSと、イギリスの芝8ハロンのGIを3連勝したあと、芝10ハロン56ヤードの英インターナショナルS(GI)に挑み、強豪Mishriffを相手に6馬身半差で楽勝した。これで10戦全勝。折り合い面に問題はなく、「馬場が悪くならなければ次走は凱旋門賞も」という陣営の声が出ている。勝てば親子制覇となる。(※レース映像)

血統的に2400mは問題ない。あとは馬のリズムがこの距離に合うかどうかだろう。何かと比較されるFrankel(通算14戦全勝)は、全弟ノーブルミッションが12ハロンの馬だったのでスタミナそのものはあったはずだが、気性面を含めると、自身はもう少し短い距離がベストだった。この関係性がBaaeedとHukumの兄弟に成立するかどうかは分からないが、前々走までマイル路線を歩んでいたのは、少なくともその時点まではマイルがベストと考えられたからだろう。血統的に問題はなくとも、ひとつのハードルであることは間違いない。

ちなみに、BaaeedとFrankelの近い世代にある共通血脈は、Urban Sea、Sadler’s Wells、Mr.Prospector、Danzig、Blushing Groom。これらが現代のヨーロッパにおける最良の血といってもいいかもしれない。

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栗山求 近影

栗山求

1968年生まれ。大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌『週刊競馬通信』にコラム「血統SQUARE」を7年間連載しつつ編集長を務める。1997年に退社後はフリーランスに。編集者や執筆者として携わった雑誌・書籍は数知れず。2010年に株式会社ミエスクを立ち上げて代表取締役に就任。翌年から血統・配合の競馬総合サイト『血統屋』の運営を開始し、牧場・馬主向けの配合コンサルタント業を本格化させる。2012年から『パーフェクト種牡馬辞典』(自由国民社)を望田潤氏らと共同執筆で上梓。2016年に『血統史たらればなし』(KADOKAWA)を刊行。月刊誌『優駿』(JRA)やクラブ法人の会報各誌に連載を持ち、『KEIBAコンシェルジュ』(グリーンチャンネル)などのテレビ出演もこなす。

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