来たる26日、東京競馬場でジャパンカップが行われます。
今回のコラムは、英セントレジャーを制したコンティニュアスの参戦を念頭に、ジャパンカップに来日した歴代の英国クラシックホースをまとめる予定でしたが、出国直前の調教で後肢に違和感が出て来日取り止めに。パカパカファーム生産のハーツクライ産駒を是非とも見たかったのですが仕方ありませんね。
というわけで今年の外国馬はフランスのイレジンのみ。外国馬の参戦が1頭だけというのは2020年以来3年ぶりで、国際招待競走としては寂しくなってしまいましたが、三冠馬が3頭揃った3年前同様、今年のレースも「夢の対決」が実現することになりました。
レーティング129ポンドで世界1位にランクされるイクイノックスと、史上7頭目の三冠牝馬リバティアイランド。長く競馬をやっていても、そうそうお目にかかれないような2頭の“最初で最後”になるかもしれない対決を見ることができるのは、競馬ファン冥利に尽きます。
思えば、それぞれの秋緒戦も圧巻でした。
リバティアイランドが勝った10月15日の秋華賞。4コーナー手前から鞍上のゴーサインで好位から自ら動き、同世代の牝馬に敵はいないと言わんばかりに瞬く間に前を交わしたシーンは、背筋がゾクゾクしました。
イクイノックスが勝った10月29日の天皇賞・秋。前半57秒7のハイペースを3番手で追走しながら、最後の直線でさらに加速し、1分55秒2という衝撃の世界レコードで楽勝した強さは思わず笑いが出るほどで、天皇皇后両陛下も観戦された一戦は伝説のレースとなりました。
▲世界1位イクイノックス(上)vs三冠牝馬リバティアイランド(下)
そんな、この秋の競馬を象徴するパフォーマンスを見せた2頭による頂上決戦。2頭の父親は、ともに2015年のクラシック世代で、父親同士の代表産駒による対決でもあります。
残念ながら2021年に早逝した、リバティアイランドの父ドゥラメンテは、2015年の皐月賞・ダービーの2冠馬。一方、イクイノックスの父キタサンブラックは、皐月賞3着の後、ドゥラメンテが当時のレースレコードで制したダービーでは6番人気で14着という大敗でした。
しかし、ドゥラメンテはダービー後に骨折が判明し、秋シーズンを全休。一方のキタサンブラックは、リアルスティールとの接戦を制して菊花賞を優勝。ダービーふた桁着順から巻き返し、最後の一冠を手にしました。
結果的にドゥラメンテのラストランとなった2016年の宝塚記念がドゥラメンテとキタサンブラックの最後の直接対決となりました。レースを制したのは牝馬のマリアライトでしたが、後方から追い込んだドゥラメンテがクビ差の2着、逃げたキタサンブラックがドゥラメンテとハナ差の3着。上位3頭は同タイムでした。
ドゥラメンテ引退後のキタサンブラックの活躍ぶりは2年連続年度代表馬選出など紹介するまでもありません。一方、ひと足先に種牡馬入りしたドゥラメンテは、限られた世代しかいない産駒たちが初年度から大活躍しています。そんな2頭の産駒による代理対決。世代を越えた競馬のロマンを感じます。
もちろん、2頭以外にも実績馬、実力馬が揃った今年のジャパンカップ。出走する全馬に注目すべきなのは当然です。間違いなく2023年の秋競馬最大のクライマックスとなる大一番を堪能しましょう!