プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「騎手というファクター」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
11月12日京都11R・エリザベス女王杯(芝2200m)
エリザベス女王杯は京都芝2200mで施行。初角まで400m弱ほどの距離があるので、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。ただ、トップレベルで競い合うG1戦、そしてコース形態的に直線入り口でインが空きやすいことを考えると、距離ロスなく進んで、直線でも内を突けるタイプにアドバンテージがありそうです。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。先行馬占有率33%なら、やや先行有利でしょうか。好位の4、5番手を取れる馬に安定感があります。
1番人気想定はブレイディヴェーグ。重賞未勝利で、前走は13番手からの追い込みという実績から、1番人気で積極的に買いたいタイプとは言えません。リバティアイランドやイクイノックスといった回収率90%は出るであろうタイプの1番人気とは違います。ただ、何といってもルメール騎手騎乗は怖い。今年の芝G1レース13戦で10回馬券に絡んでいます。◎にして頭固定にはしないと思いますが、扱い方は熟慮したいと思います。
メンバーを見渡すと、そんなに先行勢が強力ではないので、府中牝馬Sを逃げ切ったディヴィーナの再度の逃げ切りを狙ってみる手はありそう。前走でハナを切っているのはこの馬だけです。
展開想定的に、ほぼ番手から3番手を確保できそうなのがアートハウス。長期休養明けは期待値的に悪くありませんし、この馬自身、休み明けは3戦3勝と得意としています。デビュー以来8戦で5回1番人気に支持されている人気になりやすいタイプが、ここは大きく人気を落としそうで、想定通りの人気なら穴で面白い存在です。
ここ2戦、道中で動いているマリアエレーナも展開的、コース形態的に向きそう。前走の0.2秒差・4着も期待値を積む負け方です。8番人気前後なら妙味大なので、あとは奇をてらうことなく普通に乗られれば。
大穴なら、前走で7-6-5と動いていったシンリョクカにも注目です。
昨年の覇者・ジェラルディーナは、3〜4コーナーで一気に動いていった2走前の宝塚記念が非常に強い内容。前走でも道中で押し上げており、3コーナーからの加速が求められる京都コースに合っています。
2019年以来、4年ぶりに京都で行われるエリザベス女王杯。施行条件が変わるため、近年の傾向分析が使いにくく、期待値的においしくなりやすい一戦なので、しっかり枠や並びを吟味して結論を導き出したいと思います。
【枠順確定後注目馬】
1 ブレイディヴェーグ
6 ディヴィーナ
7 ジェラルディーナ
9 アートハウス
10 ククナ
15 ビッグリボン
週中で高評価していた馬が良い枠を引いてここは配当的にも面白い。抜けて強い実績を持つ馬がおらず配当妙味が有るレース。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言105
『騎手というファクター』
★ピックアップレース★
11月4日東京9R・神奈川新聞杯(ダート1600m良)
◎12エルゲルージ
○16ナンヨーヴィヨレ
▲6マイネルサハラ
△2ギョウネン
☆15ラフエイジアン
注8サルヴァトーレ
[参考買い目]
単勝 12
ワイド 12-16.6
馬連 12-16.6.2.15.8
3連複 12-16.6.2-16.6.2.15.8
──今週は久々にタイムリーな話題を取り上げたいと思います。11月4日東京9Rの神奈川新聞杯は◎12エルゲルージで、単勝、馬連、3連複的中となりました。このレースは、払い戻し額的には大きくないのですが、伺いたいテーマがありまして。というのも、この週は “モレイラ無双”状態だったんですよ。
みねた:土日で11勝。凄いですよね。
──この◎12エルゲルージは、当初は岩田望来騎手が騎乗予定だったのですが、当日にモレイラ騎手に乗り替わりとなりました。
みねた:予想段階では岩田騎手を想定していて、オッズも4倍ぐらいあったのですが、最終オッズ2.4倍まで下がったのは、モレイラ騎手という要素も大きかったでしょうね。
──モレイラ騎手だから◎というわけではないんですね。
みねた:東京ダート1600mというコースパターン(初角まで長い芝スタートのダートコース・詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご参照ください)のコースで外目の枠。先行馬の割合が少ないので6→5→4と自分で動いていける脚質というのもプラス。このコラムの読者ならご理解いただけるような、いつも通りの予想手順です。
──ですよね。ただ、それだとコラムが終わってしまうので、少し「騎手」という要素について掘り下げてみたいと思いまして。
みねた:毎週、しっかりレースを観ていたら「騎手によって結果が変わるよね」というのは痛感していますよ。モレイラ騎手が上手なのも間違いないので、狙える時は◎を打ちます。実際に、アルゼンチン共和国杯の◎はゼッフィーロでした。
──具体的に、どの部分が上手だと感じますか?
みねた:慌てないですよね。ゼッフィーロも後方からの差し切り勝ちでしたが、普通の騎手なら、内で詰まるか、下げて外を回す競馬になっていると思います。おそらく、自身の騎乗馬が使える脚、そして周りの馬の動きが読めているのでしょう。自分の馬が差し切れるタイミングまでしっかり我慢できる点に凄みを感じます。
ただ、それにしても、(土日で)18戦11勝の勝率61%は驚異的ですよね。一般的な1番人気馬の勝率が30%程度で、モレイラ騎手の場合、より過剰に売れる状況であることを考慮すると、モレイラ騎手が馬の実力以上のものを引き出しているのは間違いないでしょう。
──みねたさんは見解文で騎手というファクターに触れないので新鮮です。これを機に伺いたいのですが、川田騎手に対してはどのような印象をお持ちですか?
みねた:お父さんが地方競馬の調教師だったことも関係あるのかもしれませんが、コーナーリングが上手ですよね。地方や小回りのコースでも膨らむことなくスピードに乗って回ってくる印象があります。そのため、道中でライバルと目される馬に蓋をしつつ、自分がベストポジションを取り切れる。技術と戦略性を併せ持った、モレイラ騎手とはまた違った意味での上手さを感じます。
──完全に脱線しますが、「好きな騎手」は誰ですか?
みねた:結局、好きな馬に乗っていた騎手を好きになることが多いので、ヒシミラクルの主戦だった角田晃一元騎手であったり、セイウンスカイの主戦だった横山典弘騎手は好きですね。敢えて共通点を挙げるなら、どちらも大舞台で強いタイプです。
──ファインプレーのあるファンタジスタタイプですよね。さて、馬券的な話に戻りたいのですが、実際問題、馬券を買う上で「騎手」というファクターについてどのようにお考えですか?
みねた:全員が上手に乗れるのであれば、競馬は人気決着ばかりになってしまいます。1番人気馬ばかり勝ち、前走6着馬が巻き返すようなシーンは減ってしまう。色んな騎手がいて、上手く乗ったり、下手に乗ったりするから、競馬というギャンブルが成立しているのは間違いありません。
ですから、基本的には、自分は「展開」の要素を突き詰め、あまり騎手には言及しないようにしてきました。ただ、やはり予想ファクターとして無視できないものであることも感じています。賭ける金額が大きくなるほど、嫌でも騎手は無視できないな、と。
具体的には、騎手による金額の上げ下げは考慮してもいいのではないかと考えています。勝負レースの騎手がモレイラ騎手ならそのまま買い、人気馬での成績が芳しくない騎手なら金額を抑えめにする、ということですね。
──なるほど。外国人騎手は過剰人気になりやすいから、期待値的には嫌っていく話になるのかと想像していましたが、むしろ逆でした。
みねた:オッズが下がっても、その分、好走率は上がっています。結局はバランスですよね。控除率を超える数字が残っているなら、それはプラスのファクターということなので、上手に味方にして活用すべきなのです。