プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は特別編として、日本ダービー展望をお届けします。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月31日 東京11R 日本ダービー 芝2400m
―今週はいよいよ競馬の祭典・日本ダービー。そこで、通常の金言ではなく、ダービーについて深く分析していきたいと思います。
みねた)わかりました。今年のダービーは皐月賞の上位馬、前哨戦のG2を勝った馬、それ以外にも主要な2~3歳重賞を制した馬が軒並み出走してきて、ハイレベルかつ検討材料の多い一戦ですよね。
―そのダービーの検討に移る前に、まずは軽く先週の振り返りから。オークスは今村聖奈騎手のジュウリョクピエロが勝利して、非常に盛り上がりました。
みねた)馬券的にはむちゃくちゃ悔しいですよ。◎ドリームコア、▲リアライズルミナスでしたからね。直線半ばまでは1000万コースを夢みました(笑)。ドリームコアが外から伸びてきたラフターラインズに併せにいったことで進路があいて、ジュウリョクピエロはノーブレーキで追ってくることができたのが勝因でしょう。
―競馬は0.1秒を争う競技だから、ほんの少しのロスが明暗をわけるというのが、みねたさんの考え方ですもんね。
みねた)ドリームコアが動かなければ空いていないルートを追ってきているので、完全な決めうちですよね。リスクを負った上で、腹を括って乗ったのが結果に結びつきました。言葉で言うのは簡単ですが、これをG1の大舞台でやってのけるのが凄くて、ありきたりな表現になってしまいますが、今村騎手は“持ってる”ということでしょう。
―今村騎手の活躍はTVのニュースでも取り上げていましたし、ダービーに向けて競馬を一層盛り上げてくれました。
みねた)まさにそうですね。ただ、このオークスによって、よりダービーが難解になった感もあります。
―オークスによってダービーが難解になった? その辺りも含めて、ここからはダービーについて考えていきましょう。
みねた)例年、ペースが速くなるオークスが1000m通過62.2秒というスローペースになったんですよ。今年のダービーはメンバー構成的にスロー濃厚とみていましたが、果たしてG1で2週続けてスローペースになるのかどうか。騎手心理的には動きたくなるはずなので、展開読みの難易度が一段階上がってしまった印象です。
―今年のダービー、登録馬の中で前走の通過順位に3番手以内があるのは抽選対象のケントンも含めて5頭。ケントンが除外なら4頭です。
みねた)先行馬占有率が高くないので、ポジション争いにおいては前が有利です。メンバー構成的にはシンプルに先行馬が有利で、道中で動けるタイプも悪くありません。ただ、G1のようなレベルの高い舞台では、本質的には道中で脚をためて伸びてくる馬が有利になります。
―金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」ですね。
みねた)先行馬が揃っていれば、迷うことなくこのタイプを狙えばいいのですが、メンバー構成とミスマッチ。ただ、オークスの結果を受けて、ペースが上がったり捲りが入る可能性も浮上しており、不確定要素が多い。
―そんな悩ましい一戦ですが、1番人気想定は二冠を目指すロブチェン。2歳暮れにはホープフルSも制しています。
みねた)強いですよね。皐月賞は逃げてレコード勝ち、ホープフルSは6-7-7-7で差し切り。3着に敗れた共同通信杯も通過順こそ4-4-4となっていますが、ロケットスタートを切りながら控えたものなので、実質的には1-4-4という通過順で、そこから0.0秒差も強い内容です。能力の高さは間違いないですが、あとはフルゲートの18頭立てで、想定3.2倍が見合うかどうか。一般的には、このオッズでは見合わないケースの方が多いです。
―そして2番人気想定が、共同通信杯でロブチェンを負かし、皐月賞でも2着だったリアライズシリウス。
みねた)この馬も強いです。共同通信杯が1-2-2からの差し切り勝ちでしたが、実はオークスで見せ場十分の走りをみせたリアライズルミナスのフローラSが1-4-4からの3着。先ほど触れた通り、共同通信杯で実質的に1-4-4から3着だったロブチェンは次走で皐月賞1着。このように、逃げられるぐらいの態勢から控えて差せるというのは、高い能力の証明なのです。
―1、2番人気の能力が高く、メンバー構成的にも先行脚質は恵まれそう、と。
みねた)前で決まった皐月賞を受けて後続がどう動くか、ですよね。誰かが捕まえにいくのか、それとも自ら動くのをためらって、結局、前が恵まれるのか。ただ、前を行く2頭が松山騎手と津村騎手というのは1つのポイントになりそうです。
―どういうことでしょうか?
みねた)やっぱり、逃げているのがルメール騎手であったり武豊騎手であったりすると、競りかけにくいという心理はあると思うんです。ペース判断に長けた騎手が逃げているレースで捲りを打って潰れたら、どうしたってレースを壊したように映りますから。そういう意味では、後続の側にルメール騎手や武豊騎手、レーン騎手などの名手が控えているというのは、このレースの見どころでもあります。
―前をいく人気の2頭が強いのは間違いないけれど、期待値が見合っているかどうかは微妙な印象ですね。
みねた)オッズ的には皐月賞の3着以下に妙味がありそうです。3着ライヒスアドラーは、10-9-9-8と捲る競馬でレコード決着の0.3秒差ですから濃い内容。ダービーを意識するなら捲らず脚をためて欲しかったですが、12.2倍は甘いのでは。あとは佐々木騎手が、今村騎手のように腹を括って乗れるか、でしょう。同じく0.3秒差で4着だったアスクエジンバラは想定11番人気・25.1倍。数字だけみると相当甘く、おそらく過去の戦歴的にも人気になりにくいキャラクターなのでしょう。
―アスクエジンバラについては、17日に骨折したばかりの岩田康誠騎手が手綱を取るのも話題になっています。
みねた)最高レベルでの戦いなので、不安要素はないに越したことはなく、岩田騎手の骨折は割引だとは思います。ただ、それに目を瞑ってもいいぐらいの人気薄でもあります。いずれにせよ、アスクエジンバラは今後も追っかけて損のない馬だと思いますよ。
―皐月賞5着がフォルテアンジェロ。
みねた)皐月賞は17-16-15-13からよく追い込んでいますし、ホープフルSでは4-5-4-4と脚をためています。1勝クラスでも取りこぼしており、相手なりという感じはありますが、馬券内の穴としての資格は十分でしょうね。
―本来、有力候補の一角と見込まれていたグリーンエナジーは熱発の影響で1週前追い切りを行わず、現時点でも出否は未定です。
みねた)13-14-13-10から0.5秒差の皐月賞は強い内容で、ここで狙いたい人が多かったのも頷けます。私も順調であれば重い印を打っていた可能性は高いですね。各陣営がメイチで挑むダービーの舞台で順調さを欠いたのは大きなマイナスですが、完調でなくとも走れるかどうかは個体差もあると思うので、あとは最終追い切りとオッズ次第といったところでしょう。
―青葉賞を勝ったゴーイントゥスカイ、京都新聞杯を勝ったコンジェスタスについてはいかがでしょう?
みねた)ゴーイントゥスカイは、青葉賞を捲りではなく脚をためて勝って欲しかったというのが正直な印象。ただ、今年のメンバーであれば捲りがハマる可能性はありますし、武豊騎手が脚をためる競馬に打ってでる可能性もあります。ただ、それに賭けるには、もう少しオッズが欲しい(想定3番人気・10.3倍)ところ。コンジェスタスは6-7-9-7からの差し切りで濃い内容。無敗馬ながら、想定9番人気・20.6倍なら期待値はあるでしょう。
―レーン騎手へ乗り替わるアウダーシア、ルメール騎手が手綱を取るパントルナイーフも気になる存在です。
みねた)この馬(アウダーシア)もスプリングSが捲りだったんですよね。また、前走が8番人気で今回が想定5番人気なので、前走で買えなかった人が狙うタイミングでもないように思います。キャリアの中に1600mが含まれているのも気になる材料。馬単体ではあまり食指は動かないのですが、レーン騎手を配しているということは、陣営はそれだけの手応えがあるのでしょう。
パントルナイーフは皐月賞14着ですが、4コーナー17番手ではさすがにノーチャンスでした。似たようなローテーションのドリームコアがオークスで3番人気に支持されていたことを思うと、想定13番人気・28.7倍はかなりナメられている印象ではあります。
―他に気になる馬がいれば教えてください。
みねた)ジャスティンビスタはホープフルSでの2番人気から、今回は想定15番人気と人気が急落していますが、2走前の京都2歳Sは5-6-7-8から差し切る好内容。実際に、アスクエジンバラやゴーイントゥスカイに先着しています。ここまで人気を落とすなら、期待値はありそうですね。
―では最後に、今回のダービーについてまとめてください。
みねた)非常に難しい一戦ですね。皐月賞の1、2着馬に展開は向きそうですが、果たして捲って潰しに行く馬はいるのかどうか。そして、その捲りはロブチェン相手に通用するのかどうか。皐月賞の走りは「捲ったら逆に潰れるよ」とプレッシャーをかけるのに十分なものでしたから。リアライズシリウス目線では、やはりロブチェンを負かすには共同通信杯のようにライバルより前で展開したいはずで、そうなると枠順が大きな鍵を握ってきます。
いずにれせよ、ロブチェンを起点に、この馬をどう倒すか、あるいは倒せないのかを考えるのが予想の出発点になりそうです。松山騎手、津村騎手に対して、ベテランのトップジョッキーがどう乗るかも注目ですし、面白いレースが期待できそうですよ。
