プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“今年こそ守りたい、馬券の「資金計画」後編”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
1月19日 中山11R 京成杯 芝2000m
京成杯は中山芝2000mでの施行。初角となる1コーナーまで400m以上の距離があるため、先行争いにおいて、内外の有利不利はありません。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭。キャリア浅い3歳戦にしては、それほど先行馬占有率は高くありません。急坂で加速するのは難しいので、3コーナーから加速をつけて坂を駆け上がってくるタイプが良さそうです。
1番人気想定はキングノジョー。新馬戦は2-5-6から差し切っての勝利でした。道中で脚をためる教育的騎乗で、6番手まで下げて勝つのは高い能力の証。今週から復帰するルメール騎手が引き続き手綱を取るのも心強いですね。
2番人気想定はパーティハーン。こちらは前走の未勝利戦が0.9秒差の圧勝でした。道中でハナを奪っての逃げ切りで、勝ち時計2.01.0も目立つものではありません。能力自体は高いと思われるので、あとは想定4.2倍をどう取るか。キングノジョーがいて4.2倍もらえると考えるか、見合わないと捉えるか、ですね。
3番人気想定はゲルチュタール。前走の葉牡丹賞は8-8-8-7と道中で動いてタイム差無しの2着でした。走破時計の1.58.8は非常に優秀です。1勝クラスを勝ち切れなかった馬が3番人気6.5倍というのは期待値的には歓迎できませんが、2勝馬が1頭だけ、登録15頭中7頭が前走未勝利勝ちというメンバー構成なら致し方ないところか。
その唯一の2勝馬がコスモストーム。ただ、その2勝はダートでのものです。初芝で挑んだG1朝日杯FSは1.4秒差・8着と悪くない内容でした。好走率自体は高くないかもしれませんが、14番人気・71.4倍なら期待値はありそうです。
シマサンブラックは前走の芙蓉Sを6-6-5-5から0.3秒差の4着。9頭立てのものなので手放しで高評価することはできませんが、ゲルチュタールとのオッズ比較で、12番人気・40.1倍なら期待値はこちらという印象も。
時計面の比較ならセンツブラッドが前走の未勝利戦で記録した2.00.3はパーティハーンを上回っていますし、パッションリッチは葉牡丹賞を1.59.4で走破して4着。オッズ次第では期待値が取れる可能性はあるでしょう。
比較の難しいメンバー構成で、枠や並びの重要度も高く、オッズ次第という側面が強い一戦。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言164
今年こそ守りたい、馬券の「資金計画」後編
―前回に引き続いてテーマは「資金計画」。今回は具体的な「資金計画」の立て方について伺っていきたいと思います。
みねた)どうしても体感的に8連敗したら長く感じてしまうし、無計画に馬券を買っていると精神的にも追い詰められてしまうもの。そうならないために、しっかり「資金計画」を考えて買いましょう、というお話ですね。
―Xで「その月の始めに、1カ月で使える資金を賭けるレース数で分割し、それ以上賭けなければ良い」とポストされていました。こちらについて、少し詳しく説明していただけますか?
みねた)私の場合、全レース買うので、3場開催8日間と仮定したら、36R×8=288レース賭けることになります。仮に月の馬券予算が300万円なら、その300万円を288で割った10416円が1レースあたりの賭け金になるということですね。翌月、資金が400万円に増えていたら、400万÷288で13888円まで賭けられるようになるし、200万円に減っていたら200万円÷288で6944円しか賭けられなくなるわけです。
―強制的に賭け金の上限を決める。
みねた)回収率100%以上の予想を参考にしているのに負けているとしたら、それは「当たる時にちょこっと、外れる時にドカンと」買っているのに他なりません。先の例なら、回収率が出たレースに2000円、外れたレースに50000円といった賭け方をしているということですね。そうならないために、(馬券資金が400万円なら)1レースに10400円以上賭けないようにすることが大事です。
―みねたさんを題材にすると数字が大きくなり過ぎるので(笑)、もう少し真似しやすい例でお話いただけますか?
みねた)わかりました。著書の中では、「勝負レースは競馬資金の1%、そうでないレースは0.1%を賭ける」という案を提唱しましたが、資金計画をわかりやすくして、回収率も高めるためだったら、1%の部分、つまり勝負レースだけ絞って買うというのも一つの方法です。あるいは重賞だけ、という手もありますね。
仮に1日5レースに絞ったら、8開催日で合計40レースになります。1カ月の競馬資金が10万円なら、10万÷40で1レースあたり2500円使えるということになります。翌月に20万円まで資金が増えていたら1レースあたり5000円使えるし、5万円に減っていたら1レースあたり1250円しか使えない。
―そこはみねたさんの場合と同じで、資金の増減に応じて、賭け金も変わると。
みねた)賭け金が減っている状況というのは、要するに予想が下手だということですから、賭け金を抑えめにしながら勉強するイメージですね。そのうちに勝ち筋がみえてきて、資金が膨らんでくるはず。仮に負け続けたとしても、想定以上に負債を抱えることはありません。
―さらに現実に即して、「月の競馬予算が5万円の会社員」で考えてもらってもいいですか?
みねた)これも考え方は同じですよね。1日5レースぐらいに絞って月40レース買うなら、1レースあたりの予算は1250円。これ以上、買わないようにする。あとは、資金の増減に応じて賭け金を変えるのも同じ。ただ、会社員の方が給料から馬券資金を捻出するケースなら、毎月、競馬資金が充当されます。2月になったら新たな馬券資金5万円を充当できるということですね。1月の回収率が100%で5万円がまるまる残っていたら、5万円+5万円=10万円を40レースで割るので、1レースあたり2500円賭けられます。1月の回収率が120%だったら11万円を40レースで割るので1レースあたり2750円、1月の回収率が60%だったら、8万円を40レースで割るので1レースあたり2000円となりますね。以降、3月になったら5万円、4月になったら5万円、という具合に順次、上乗せしていきます。
―競馬の複利だけで増やすわけではないと。
みねた)本音を言えば、本気で勝つためには死ぬ気でお金をためてから始めて欲しいのですが、今使える資金で始めるとしたら、軌道に乗せるまでに時間が掛かり過ぎますからね。結果的に年間60万円、競馬資金に充てることになりますが、この方法なら、持っている金額以上使うことはありません。借金してまで賭けるというのが、ギャンブルの破滅パターン。この方法なら持っている資金以上賭けることないし、「負けても楽しめたからOK」という範囲で済みます。もちろん、100%以上の回収率を出せるのであれば、どんどん原資は膨らんでいくでしょう。資金計画の立て方がわからないという方は、一つの方法として、一度試してみてください。
―この方法ならすぐに始められますね。ただ、実際に始めてみると、同じ日に買いたいレースが6レースあるとか、競馬場にいって40000円負けてしまったとか、イレギュラーなパターンがあると思うので、応用編というかQ&Aを次回お願いします。