プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“【京成杯回顧1】内枠の「逃げハサミ」”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
2月2日 東京11R根岸S ダート1400m
根岸Sは東京ダート1400mでの施行。初角まで距離があるので先行争いにおける内外の有利不利はありません。
登録23頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。先行占有率は高くなく、極端な追い込み脚質よりも、好位差しや道中で動いていけるタイプにアドバンテージがありそうです。
1番人気想定はフリームファクシ。ダートに転じて3戦2勝、1400mでは2戦ともに圧勝でした。まだ底をみせておらず、とてつもなく強い可能性もあれば、過剰人気の可能性もあります。G1路線を歩んでいたような強敵と戦って思わぬ脆さをみせる懸念は否定できず、それを含めて1番人気・3.3倍というオッズをどう捉えるか。
2番人気想定はサンライズフレイム。4連勝で挑んだ昨年の根岸Sは2番人気で3着でした。今年はリステッド競走で2、3着からの臨戦。安定感は買えますが、実績とオッズのバランスを考えると、過剰人気にも映ります。
3番人気想定はコスタノヴァ。2走前にはエンペラーワケアに土を付けており、高い能力を感じます。ただ、前走のクラスターCが6着止まりだったのも事実で、こちらも推定8.8倍というオッズは見合っていない印象も。
そのクラスターCを勝ったのがドンフランキー。ドバイで予想的中に貢献してくれた、個人的にも好きな馬です(笑)。脚質的に展開に恵まれそうですし、海外帰りが嫌われて想定通りのオッズ(6番人気・14.1倍)なら期待値はあるでしょう。
クラスターCで2着だったクロジシジョーはその後に3戦して5着、2着、2着。連対した2戦の人気は4番人気、7番人気でした。ここも想定は8番人気・20.0倍。おそらく人気になりにくいタイプなのでしょう。道中で動く脚も備えており、このままのオッズならかなり甘いのでは。
タガノビューティーは前走でJBCスプリントを制覇。JBC勝ち馬の次走が4番人気・11.8倍というのは過小評価でしょう。
スレイマンは前走のチャンピオンズCこそ16着大敗でしたが、その前のオーバルスプリントは1番人気2着。それも含めて、2走前まで6戦続けて3番人気以内に支持されており、ここでの想定13番人気・27.7倍は評価を下げ過ぎにみえます。
上位人気と目されている馬が過剰評価気味で、期待値のありそうな馬がチラホラ。過小評価される馬が必ず出てきそうなメンバー構成なので、しっかり精査して仕留めたいですね。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言166
【京成杯回顧1】内枠の「逃げハサミ」
★ピックアップレース★
1月19日 中山11R 京成杯 芝2000m 良
◎2ニシノエージェント
穴○3ミニトランザット
▲7コスモストーム
△12ドラゴンブースト
☆13パッションリッチ
注8ゲルチュタール
注1タイセイリコルド
―お待たせしました。今週は◎→△→○で3連単172万馬券的中の京成杯についてたっぷり伺います。
みねた)この的中によって、指定している買い目通りで買っていくと300R程度外れてもいいことになります。この馬券が買えているか、買えていないかで全く違う。前3回で「資金計画」について解説したのは、このレースをちゃんと買っていて欲しいからなんですよね。
―「重賞のみねた」の勢いが止まりません。そして相変わらず、2~3歳重賞は強いですね。改めてその要因みたいなものがあれば教えてください。
みねた)まずは「ノウハウがある」ということなのでしょう。これまでにもお話ししていますが、「2~3歳重賞は差し経験のある馬を重視」「脚質が定まっている馬にアドバンテージがある」といった2~3歳戦ならでは予想法がしっかりハマっているのは確かです。ただ、最大の要因は「期待値予想が強みを発揮しやすい」ということではないでしょうか。
―好走率がオッズに見合っているかを見極める、まさにみねた理論の基本ですね。
みねた)戦歴を積んで能力や適性がある程度わかっている古馬重賞に比べて、キャリアの浅い2~3歳戦は未知の部分が大きいですよね。その結果、人気のブレが生じやすいのです。同じような臨戦過程の馬なのに人気に大差がついたり、1回の好走で人気が爆上がりしたり、逆に一気に人気が落ちたりする。例えばこのレースでいえば、同じ新馬勝ちでキャリア一戦だったキングノジョーが単勝3.1倍の1番人気に支持される一方で、ミニトランザットは単勝29.6倍の9番人気でした。あるいは2番人気3.7倍だったパーティハーンは前走未勝利戦1着という臨戦過程でしたが、他に5頭いた未勝利勝ちステップだった馬は、タイセイリコルドが6番人気15.0倍、ニシノエージェントが11番人気49.4倍、インターポーザーが10番人気38.1倍、センツブラッドが8番人気19.9倍、マテンロウムーブが5番人気14.2倍というオッズでした。
―そしてミニトランザットが3着、ニシノエージェントが1着ですか。
みねた)このレースはパーティハーンの存在が大きかったですね。週中展望の段階でもあまり買い材料が無いと言及していたと思いますが、前走の未勝利戦はハナを切って勝ちにいったもの。0.9秒差圧勝だったことで人気になりましたが、勝ち時計の2.01.0も特筆するほどのものではありませんでした。この馬が人気を吸ったことで、他の馬の期待値が底上げされて、魅力のある馬が複数存在していたため、思い切って穴に寄せて予想したのが功を奏しましたね。
―では、ここからは具体的な狙いについて伺っています。11番人気のニシノエージェントへの◎。
みねた)先ほどお話しした通り、この馬も未勝利勝ちステップという意味ではパーティハーンと同じでした。時計を比較してもパーティハーンが2.01.0なのに対して、ニシノエージェントは2走前に2.01.4で駆けており遜色はありません。「3.7倍と49.4倍(予想段階では54倍)ほどの差がありますか?」ということです。単純に臨戦過程とオッズの比較だけでも、期待値的にはパーティハーン<ニシノエージェントだとわかりますよね。
―それは理解できます。ただ、ニシノエージェントを◎に抜擢するところまでいけるかと言われると…。
みねた)大前提として、週中展望の段階でも触れた通り、メンバーレベルが低かったというのはあります。重賞勝ち馬やG1好走馬などが出ていれば話は変わりますが、今回は14頭中オープン馬は2頭だけ。言うなればどんぐりの背比べのようなレースだったので、未勝利戦ステップでも十分に通用する余地がありました。そして、ニシノエージェントにはそれ以外にも買い材料は多かったですよ。
―教えてください。
みねた)何と言っても「逃げハサミ」。これはもう、改めて説明するまでもありませんよね(編注:逃げハサミとは、前走の通過順位が4番手以下だった馬の両脇に、前走の通過順位に3番手以内がある馬が入った枠並び)。しかも2番枠の逃げハサミですから、道中はロスなく内を追走できる可能性が限りなく高い。今回の的中でも改めて感じましたが、同じ「逃げハサミ」でも内枠の方が両脇の馬が前に行ける可能性が高く、自身も内に入れやすいことを考えると、内枠の方がより好走確率は高そうですね。
また、この馬は4戦のキャリアで一度も出遅れていないというのも買い材料でした。せっかくの「逃げハサミ」でも出遅れてしまってはそのメリットを享受しにくいですからね。4戦ともにゲートをしっかり出ていて、前走ではそれまでよりも少し位置を下げて脚をためての差し切り勝ち。今後に繋がる価値のある内容でした。
―キャリアを積んでいたからこそわかる情報ですね。
みねた)そうですね。そもそも、2~3歳重賞においてキャリアが多いことは、決して不利ではありません。むしろ経験のアドバンテージがあるといえます。にもかかわらず、未知の魅力を買われてキャリアの浅い馬の方が人気を集めることが少なくないので、期待値的に面白い存在になりやすいんですよ。
―11番人気でしたが、確信をもっての狙いだったことがよくわかりました。対抗以下については次回、お願いします。
(次回に続く)