プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“内枠の先行馬並びと外枠の先行馬並び”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
3月9日 中山11R 弥生賞 芝2000m
弥生賞ディープインパクト記念は中山芝2000mで施行。スタンド前直線半入口付近からスタートし、初角となる1コーナーまでは400mほど。枠順による先行争いにおける有利不利はあまりありません。
登録14頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。先行占有率が50%と高く、また、中山はまだ開幕2週目と芝の状態が良いため内枠が良さそう。脚質的には道中でしっかり脚をためられるタイプが良いでしょう。
1番人気想定はナグルファル。初戦はハナを切る勢いでスタートするも2番手に控えて勝利、2戦目は2番手から0.7秒差の圧勝。この2戦から、能力の高さは窺い知ることができます。ただ、ここで将来を見越してためる競馬を試みられた場合、取りこぼしもあり得るでしょう。1勝クラスからG2への格上げ、控える競馬の経験の無さなどを考えると、2倍台で軸にするのはリスクがあるように思えます。
2番人気想定はミュージアムマイル。朝日杯FSでは3-4と脚をためて2着しています。距離延長ローテになりますが、2000m自体に問題はありません。新馬戦で3着に敗れているなど、「凄く強い」という印象は持てませんが、弥生賞を好勝負する条件は満たしているように見受けられます。
3番人気想定はヴィンセンシオ。ナグルファルと同じ2戦2勝馬ですが、こちらは葉牡丹賞を6-6-6-6から差し切っており、控える経験を持っています。新馬戦から大きく時計を詰めてのレコード勝ちで、瞬発力と持続力を兼備しているタイプ。8倍なら期待値があるのでは?
ホープフルSの3~6着馬が登録していますが、ホープフルS組自体がなめられているのか、予想オッズを見る限り、どの馬も妙味がありそう。なかでも、好走率とオッズ妙味のバランスを考えるとクラウディアイでしょうか。2戦続けて脚をためる競馬を試みられており、先行馬の揃ったここは展開も向きそうです。
出走予定馬では最先着となる3着だったファウストラーゼンの想定21.1倍も甘く、展開面は微妙でも、期待値優先でこちらを狙うのも面白そう。
新馬戦で8-11-10とためる競馬で差し切ったのがレディネス。逃げハサミなど並びに恵まれれば大きくパフォーマンスを上げる可能性があり、20倍前後のオッズなら、こちらに賭ける手もありそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言171
内枠の先行馬並びと外枠の先行馬並び
★ピックアップレース★
2月15日 東京11R クイーンC 芝1600m良
◎7エンブロイダリー
○4ショウナンザナドゥ
▲11マディソンガール
△6マピュース
☆8ティラトーレ
注12コートアリシアン
―「重賞のみねた」は広く知られていますが、今年も勢いが止まりませんね。この週は3重賞のうちクイーンCが◎エンブロイダリー(3番人気)、京都記念が◎ヨーホーレイク(5番人気)で1着でした。特にクイーンCは◎→△の決着で馬単87.2倍!ということで今回はクイーンCの思考についてお伺いします。
みねた)もう聞き飽きたかもしれませんが、これは「並び」が大きかったですね。このレース全体の思考としては、「印上位の3頭はなかなか強力だな」というのが第一感。期待値のある穴馬を探すというよりも、上位3頭をどう評価するかが鍵でした。
―このレースで1番人気に支持されていたのは、1戦1勝のマディソンガールでした。
みねた)新馬戦は素晴らしい内容ですよね。1800mという中距離をデビューの舞台に選ばれている点でも陣営の期待値の高さを感じますし、そこで上がり3ハロン33.0秒。例えばティラトーレの前走をみると芝1400mで上がり3ハロン33.2秒止まりですから、強い馬であることは疑いようがないでしょう。最終オッズ2.6倍でも、売れ過ぎという印象はありません。
―実際に▲と高く評価されていますね。そもそも、みねたさんはキャリア1戦の馬について、どうお考えですか?
みねた)基本的には取りこぼすだろうと思っています。だから人気の時は評価しにくいですよね。キャリアが浅いということは、それだけわかっていない部分が大きいということなので、思わぬ弱点を露呈するケースはあり得る話です。マディソンガールの場合も、数字上の価値は認めていましたが、京都から東京に替わってどうかな?という懸念は抱いていました。
―そういえば、エルフィンSでもキャリア1戦のダノンフェアレディが1番人気に支持されていましたが、スタート直後に逸走して5着に敗れました。やはりキャリアが豊富な馬の方が狙いやすいということか。
みねた)京成杯でニシノエージェントについて触れた時、「4戦のキャリアで一度も出遅れていないというのも買い材料でした」と言いました。キャリアが多い馬の方が情報が多いのは確かで、キャリア1戦だと、そのレースではたまたま出遅れなかっただけかもしれないじゃないですか。
もちろん、キャリア1戦の馬を買うのがダメということではなく、人気薄ならば、未知のリスクを織り込んだ上でも狙えます。一番ダメなのは、キャリア1戦の人気馬は買うのに、人気薄だとノータイムで消してしまうような、一貫性の無い姿勢でしょう。
―マディソンガールはリバティアイランドの半妹で、厩舎も騎手も同じ。スター性があって、どうしても期待してしまう存在でした。
みねた)でしょうね。私もそう思います。そして、「スター性があればあるほど、過剰に売れるに違いない」と考えるのが期待値党ですね(笑)。「クイーンCの出走馬の中から好きな馬を選んで馬主にしてあげる」と言われたらマディソンガールを選びますが、馬券を買う分には、マディソンガールが稼いだ賞金をもらえるわけではありませんから。
―2番人気のショウナンザナドゥについてはいかがですか?
みねた)前回の阪神JFの時は抽選に通ってのギリギリの出走で、並びも悪く2番人気は過剰人気だった思いますが、G1→G3の格下がりのここでの2番人気は悪くありませんよね。ただ、4番、5番、6番と並んだ先行馬の一番内という並びがマイナスでした。1番、2番、3番の1番、あるいは金言168「ポツンと離れた内に配置された先行馬」のような並びだったら◎まであったのですが。
―4番、5番、6番の並びと1番、2番、3番の並びの違いについて教えていただけますか?
みねた)同じ先行馬並びでも、内枠と外枠では切れ込み度合いが違います。1番、2番、3番の並びなら、2番、3番は大きく切れ込むことなくダッシュしていきますが、14番、15番、16番の並びにおける15番、16番は角度をつけて内に切れ込みながら走るので、14番の馬は前を塞がれたり体をぶつけられるリスクがどうしても高まります。4番、5番、6番は内目とはいえ、それなりに5番、6番は切れ込んでいく形になるのが嫌でした。
また、1番、2番、3番なら、自身の内側からぶつけられる心配がないのも大きいですよね。
―同じ「並びで入った先行馬」でも内枠と外枠で不利の度合いが変わるのですね。またひとつ、理解が深まりました。そしていよいよ◎エンブロイダリーについてですが…?
みねた)「逃げハサミ」ですね。
(次回に続く)