プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“競馬は、本質的に“中団から”になりやすいです。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
3月16日 中京11R 金鯱賞 芝2000m
金鯱賞は中京芝2000mでの施行。初角となる1コーナーまでは300m強で、やや内枠優勢かなというところ。登録11頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは4頭。先行・差しはイーブンといったところでしょうか。ただ、開幕週なので、前も簡単には止まらず、捲りを打って、内を締めるところまでいけないと厳しい競馬になるでしょう。
1番人気想定はデシエルト。芝では皐月賞、ダービー以外は負け無しで、ダートから芝に戻して連勝中と勢い十分。当然、ここも有力候補の一角です。ただ、ここ2戦が8番人気1着、3番人気1着で、今回は想定オッズ3.4倍の1番人気。能力を評価して買えていた人は引き続き狙っても良いでしょうが、ここで買いに転じるのは得策とは思えません。
2番人気想定はプログノーシス。有馬記念は0.8秒差の11着と期待値の取れそうな負け方でした。昨年の金鯱賞では0.8秒差で勝利しており、この舞台は間違いなく合うでしょう。自力で捲れるのでG2向きでもあります。ただ、想定3.7倍の2番人気は辛いか。
3番人気想定はホウオウビスケッツ。前走の中山金杯は案外の内容でしたが、元々、超人気薄のダービーであわやのシーンを演出し、昨秋の天皇賞(秋)ではドウデュースから0.3秒差の3着と強敵相手に強いタイプです。強力な同型デシエルトがいますが、控える競馬もできますし、強い相手と締まった流れを作った方が、よりチャンスは広がるはず。想定オッズ5.5倍の3番人気なら期待値がありそうです。
4番人気想定はクイーンズウォーク。秋華賞15着、小倉牝馬Sでは1番人気で0.3秒差・6着と期待値の取れそうな臨戦過程です。また、G1の前哨戦なので、自力で動ける脚質というのもいいでしょう。4番人気・6.2倍なら。
5番人気想定はラヴェル。前走のチャレンジCは9-9-7-6と自力で動いて快勝。能力の高さを見せてくれました。
上位人気馬に逃げ馬と捲れる馬が揃ったことで、道中は捲り合いの厳しい競馬になりそう。マイネルモーント、ライラックなど、しっかり脚をためられるタイプが波乱の使者になるかもしれません。問題は、開幕週なので「差しが間に合うかどうか」ですね。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言172
競馬は、本質的に“中団から”になりやすい
★ピックアップレース★
2月15日 東京11R クイーンC 芝1600m良
◎7エンブロイダリー
○4ショウナンザナドゥ
▲11マディソンガール
△6マピュース
☆8ティラトーレ
注12コートアリシアン
―前回に引き続き、◎→△の決着で馬単87.2倍となったクイーンCについてお伺いします。◎エンブロイダリーは逃げハサミ!
みねた)上位人気3頭はいずれも評価していましたが、3番人気の馬(エンブロイダリー)が「逃げハサミ」なら、必然的に◎になりますよね。
―3年以上前に、このコラムの初回で紹介したのが「逃げハサミ」でしたが、いまだに最強の武器として機能していますね。
みねた)京成杯の◎ニシノエージェントも「逃げハサミ」でした。クイーンCの翌日に行われた◎ヨーホーレイクも自身が1番枠で2、3、4番が先行馬という準・逃げハサミとでもいう形。重賞レベルになるとポジションの重要度が高まるので、一層、「逃げハサミ」が威力を発揮してくれています。
―「逃げハサミ」以外にエンブロイダリーを評価したポイントはありますか?
みねた)戦歴から「強い相手に走るタイプ」だと読み取れました。この馬はデビューから4戦して2着、1着、5着、1着という戦績なのですが、敗れた2戦の位置取りが5→7→2着と7→8→8→5着。ともに脚をためる競馬をしています。脚をためるのは、将来、大きいところを狙うための教育ですよね。ただ、どうしてもスローペースになりやすい2~3歳戦で教育競馬を試みると、行った行ったの展開負けを許すことが多くなります。
―確かに敗れた2戦ともにメンバー最速の上がりを使っていて、ありきたりな表現ですが「負けて強し」の内容にみえます。
みねた)それでも、馬柱の見映えは悪くなるから、オッズが甘くなりやすいのがいいですよね。取りこぼすことなく2戦2勝だったら、もっと人気になっていたでしょう。こういう、しっかり脚をためるタイプはクラスが上がってペースが厳しくなった方が能力を発揮できるので、重賞で狙いやすいです。未勝利で10-10-10から2着していたような馬が、1勝クラスへの格上挑戦で穴をあけたりするのも同じ現象ですね。1-1-1で未勝利を勝ってきた馬よりも10-10-10で展開負けして2着だった馬の方がパフォーマンスの最大値は高いのに、馬柱の見栄えの悪さで人気になりにくい。
―ナムラクレアが前哨戦で強くてG1で取りこぼすというのも、近い話ですよね?
みねた)そうですね。ナムラクレアは道中で動いていけるので、弱い相手に取りこぼしません。前哨戦もしっかり勝ち切って、馬柱も綺麗だから人気になるけれど、G1のガチンコ勝負になると、ロスの多い競馬をする分、自分の競馬に徹する馬に足元を掬われてしまうことが多いのです。
―2着のマピュースについてはいかがでしょうか?
みねた)一番の理由は、「逃げハサミの両脇」です。「逃げハサミ」を◎にした場合、両脇がスムーズに先行している可能性が高いから、組み合わせで押さえておいた方がいいという考え方ですね。ただ、この馬もしっかり新馬戦で教育競馬を施されているんですよ。
―9-8からメンバー最速の上がり33.8秒を繰り出しての差し切り勝ち。
みねた)印は回らなかったのですが、3着のエストゥペンダも新馬戦で7-9から上がり33.7秒を使って4着という脚をためる競馬を試みられていました。私の定義(3番手以内)であれば、そのレースで先行できる馬は3頭までで、他の馬は「差し」になるんですよ。競馬というのは、本質的に「中団からになりやすい」のです。そうなった時に備えた経験を積んでいる馬にアドバンテージがあるのは、ある意味、当然ですよね。
―新馬戦で脚をためる競馬をした馬が強い、2~3歳戦は差し経験のある馬が強いというお話をされていましたが、それを改めて言語化していただきスッキリしました。
みねた)「中団からになりやすい」という競馬の本質的な部分と、馬柱の見栄えによって人気が作られやすいという期待値的な部分、この2つがポイントですね。だから、2~3歳の上級条件では、馬柱の前走と過去走を反転させるぐらいでちょうど良いかもしれません。馬柱の上に隠れている新馬戦の内容をしっかり吟味することで、美味しい穴馬がみつけられるはずです。