プロ馬券師・双馬毅氏が実践例を交えながら馬券理論を解説する『双馬毅の“ローテ×血統”錬金術』。今回のテーマは「阪神JF、朝日杯FS、ホープフルの評価と高評価すべきレース」です。
なお、『競馬放送局』では双馬氏の推奨レース(予想)、特選リストを公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
双馬:今回は阪神JF、朝日杯FS、ホープフルSの回顧と、重賞以外で気になったレースについて話したいと思います。特に京都で行われた阪神JFと朝日杯FSは、展開もレースの質も真逆になったので、そこに着目すると上位に好走した馬の評価も全然変わってきます。
▼ピックアップレース(1)
12/8 京都11R 阪神JF 芝1600m良
勝ち馬:アルマヴェローチェ
双馬:阪神JFはメンバーレベルも悪くありませんし、レース内容としても平均レベルはありました。テン3Fが34秒2、1000m通過も56秒5ですから、かなりのハイペースで、レース結果としては内枠の馬が2、3着に来ているんですけど、外を通った方が有利な馬場でした。展開と馬場を考えるとマイルCSに近いレースと言っていいでしょう。
完勝したアルマヴェローチェについては、以前、ノーザンファーム生産で短縮に対応できるハービンジャー産駒だと言いましたけど、その通りの反応の仕方ですべてがハマりました。なので、次走で同じぐらいのパフォーマンスを出せるかどうかは分かりません。危険な人気馬になる可能性もあります。
2着のビップデイジーは速い追走ができないのが、かえって良かったですね。1枠1番でしたけど、位置取りが後方になったことで外に出せました。
逆に、3着のテリオスララは2枠2番から前目につけたので、ずっと内を走ることになりました。その分3着に負けましたけど、外枠だったら1着か2着になっていてもおかしくないぐらいの能力は見せました。馬場次第で巻き返せます。
4着のショウナンザナドゥは枠は悪くなかったんですけど、前に行きすぎました。能力で負けたというよりは展開負けですね。
5着のスリールミニョンは外枠からの追い込みですから、かなり恵まれました。今後は過剰人気しそうなので注意してください。
6着のコートアリシアンは外枠だったんですけど、なぜか内に入って、内から伸びてきたので不利がありました。
8着ミストレス、9着モズナナスター、12着リリーフィールドは1~3番手で内を通っているので、次走以降で巻き返しそうです。
──1番人気16着のブラウンラチェットの敗因はどう見ていますか?
双馬:レース前に言っていた通り、アルテミスSはすべてが噛み合っての勝利でしたから、今回は反動が出るタイミングでした。マイナス12キロという馬体重から見ても、コンディションは良くなかったんじゃないでしょうか。
走るなら反動が抜けた次走ですけど、もともと能力が突出しているわけじゃありませんし、マディソンガールなどの新興勢力が出てくるでしょうから、過信は禁物です。
▼ピックアップレース(2)
12/15 京都11R 朝日杯FS 芝1600m良
勝ち馬:アドマイヤズーム
双馬:朝日杯FSはテン3Fが35秒4、1000m通過が60秒4というスローペースでした。ラップで見ると残り2Fしかほぼレースになっていないんですよ。中盤で緩んで、残り600~400mでも11秒8というのはペースが上がっていないのと一緒です。京都には下り坂があるわけですから。
なので、レースが終わったときに「新馬戦みたいなGIだな」と思いました。
──なぜこんなにスローペースになったんですか?