競馬評論家・TAROによる、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラムです。なお、『競馬放送局』ではTAROの厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
前回は武豊騎手を取り上げました。皐月賞で期待した◎ドウデュースは3着止まりでしたが、位置取りの悪さをリカバリーした武豊騎手らしい馬場読み力を発揮した一戦だったと思います。また、これは邪推かもしれないことを承知の上ですが、その視線の先には日本ダービー、あるいは凱旋門賞まで見据えているようにも思えました。道中あまり無理せずの追走になったのは、距離延長を控えているためでしょう。もちろん馬にそのスケールがあるかは何とも言えないところですが、ジョッキーの個性がよく出たレースだったと思います。
他にも日曜中山芝では、4Rの未勝利戦・キングズパレスは武豊騎手らしい距離延長に対応する差し競馬でしたし、8Rの袖ヶ浦特別を制したマウンテンムスメとのコンビでも、2番手で上手く脚を溜める好騎乗が光りました。難解な馬場になればなるほど、武豊騎手の馬場読み力が生きてきます。先週の中山芝はそれが生きる状況でしたし、外枠を引くことが多かった幸運もありました。
さて、今週は一転して関東の若手ジョッキーを取り上げようと思います。
~先週末は単勝3ケタオッズ馬で大爆発!~
というわけで、今回は木幡巧也騎手を取り上げます。このタイミングでなぜ木幡巧也騎手なのか? と思われるかもしれませんが、先週末ド派手な超人気薄を何度も持って来ていたからです。
まずは土曜の中山6R。13番人気のスマイルアップに騎乗すると、直線しぶとく脚を伸ばして3着と波乱を演出。次の中山8Rでは15番人気のサツキマスに騎乗し4着と僅かに馬券圏内には届かなかったものの見せ場十分の競馬。
翌日の中山3Rでは単勝383.7倍という超人気薄ヴィオレントアズルに騎乗すると、後方からジリジリ脚を伸ばして15番人気3着と再び波乱の立役者に。極めつけは日曜中山準メインのリステッド・京葉S。再び15番人気と超人気薄のロードエースに騎乗すると、好位から早め抜け出しの積極策で直線は一旦先頭に立つ見せ場十分の競馬。最後は上位人気勢に交わされたものの3着に粘らせ3連複5万、3連単23万超と再び大波乱の主役となりました。
▼先週の木幡巧也騎手の3度の大穴
土曜中山06R スマイルアップ 単勝106.2倍 13番人気3着
日曜中山03R ヴィオレントアズル 単勝383.7倍 15番人気3着
日曜中山10R ロードエース 単勝110.3倍 15番人気3着
通常であればめったに馬券に絡むことのない単勝オッズ3ケタ台の馬を、週に1度ならず、2度3度と馬券圏内に持って来るのですから、これは何かあるに違いない! そういえば、木幡巧也騎手といえばミライヘノツバサでとんでもない穴をあけたこともあったはずだ…と急に気になりだしたわけです。
というわけで思い立ったが吉日、木幡巧也という男を改めて掘り下げてみます。
~実は伸び悩み傾向の現状~
そこで早速調べてみて改めて気づいたのですが、木幡巧也騎手って今年はかなり苦しんでいたんですね。皐月賞終了時点で僅か1勝。2018年から、23勝→24勝→28勝→28勝と安定して勝ち星を積み重ねていたことを考えると、少々躓いている感じがします。
とはいえ、これは何度も言いますが、
「大事なことは上手いか下手かではない。特徴を知ること」
これです。仮に勝てていなくても、いや、むしろ勝てていない騎手こそ特徴を知って、買いどころを理解することが大切です。言葉は悪いですが、地味な騎手ほど来るときは大きい。だから、実はマイナーなジョッキーほど買いどころを知っておくことは重要なんですね。
木幡巧也騎手は今年1勝と不振傾向ですが、逆に言えばそんな状況の中でどうやって穴をあけているか共通点を見い出せれば、馬券を買う上でも大きな助けになるはずです。