競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回取り上げるのは角田大河騎手です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
桜花賞はリバティアイランドが大外から突き抜けて勝利。川田騎手としては位置取りは恐らく想定していたより後ろになったと思うのですが、そこからの落ち着いた捌きが見事。道中無駄に動かず、直線勝負に賭けたからこそ引き出せた末脚だったと思います。
また、惜しくも2着となったコナコースト=鮫島駿騎手も、上手く出して行って好位を確保し、直線追い出しを我慢する100点満点の騎乗。これで負けたら仕方ないと言える納得のいく内容でした。まだG1勝利はありませんが、「次のG1初勝利騎手が誰か?」と問われたら、恐らく筆頭候補に挙がる一人だと思います。その日が近いことを感じさせるレースでした。
さて、オークスに向けてですが、リバティアイランドの川田騎手、そして中内田調教師はいずれもスピードタイプの馬を多く輩出するコンビ。無敗で大阪杯を制したレイパパレ(高野厩舎)はその後、距離を延ばした宝塚記念では伸び切れず3着。阪神JFを制したダノンファンタジー、朝日杯FSを制したグレナディアガーズ、ダノンプレミアムなども、やがて掛かる気性が強く出て距離はあまり持ちませんでした。もし次走、オークスにこのまま出走してくるようになれば断然人気は必至ですが、少し気掛かりです。
さて、先週は角田大和騎手を取り上げましたので、今回はその流れで弟の角田大河騎手を見ていきます。
角田河騎手は兄・大和騎手から1年遅れの2022年3月デビュー。いきなり2連勝を飾るなど鮮烈なデビューが話題になりました。先日の毎日杯では兄より先にシーズンリッチとのコンビで重賞初制覇。今後が期待される若手ジョッキーの一人です。早速、特徴を見ていきましょう。
~芝で差せる柔軟性アリ~
先週取り上げた角田和騎手はダートでのパワー騎乗やマクリが得意とお話ししましたが、角田河騎手は末脚を引き出す柔らかさも兼ね備えたジョッキー。まだ2年目ながら溜める競馬をできるのが強みです。
▼参考記事
【第78回】角田大和騎手~強気なマクリが武器、弱点は?~&桜花賞の注目馬/TAROのジョッキーズファイル
初重賞制覇を果たしたシーズンリッチと挑んだ毎日杯でも、道中はジッと我慢させ、直線は馬群を捌いて伸びてきました。コンビで最多4勝を挙げるエイシンスポッターとのコンビでも、毎回上手く溜めて差し脚を引き出しています。昨年の2022ファイナルSでも、道中後方馬群で溜めて、仕掛けを我慢して捌いて来る見事な騎乗を見せました。
どうしても人気を背負った馬で上級条件に騎乗すると道中で動いてみたり、焦ってマクってしまったりといったことをしてしまいがちですが、そこでジッと我慢できる点に伸びしろを感じさせます。