競馬評論家・TARO氏による、騎手の分析を中心にした回顧&展望コラム『TAROのジョッキーズファイル』。今回のテーマは「横山和生騎手の狙い時」です。
なお、『競馬放送局』ではTARO氏の厳選勝負レース(予想)を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
上半期を締めくくる大一番・宝塚記念は、個人的にとても悔しい一戦となりました。
◎プラダリアが想定通りの先行策から粘り込み、そこに差し込んで来る○ソールオリエンス、▲ブローザホーンの2頭。ゴール前はほぼ決まったかと思ったのですが……。想像以上にベラジオオペラがしぶとかった。
ベラジオオペラは正直なところ、道悪の2200mの内枠であそこまで持って来れるとは思っていなかったんですよね。ただ、馬自身の根性もさることながら、横山和生騎手のコース取りも素晴らしかった。予想は残念だったものの、最終週らしい熱い叩き合いを見ることができました。
そして、当コラムで何度となく推して来た菅原明良騎手の初G1制覇、おめでとうございます!
~横山和生騎手って、道悪巧者では?~
ところで、レース後の放心状態から立ち直り、ふと思い至ったのは横山和騎手についてです。中長距離戦に強く、思い切りの良い騎手ということは認識していました。当コラムでもちょうど2年前、2022年の6月に取り上げています。
▼参考記事
【第35回】横山和生騎手~横山家のDNAを継ぐ遅咲きのファンタジスタ
ただ、もうひとつ気になったことがあるんですよね。
「横山和騎手って、芝の道悪に強くないか?」
そこで記憶が蘇ったのは、昨年の札幌記念です。プログノーシスが豪快に差し切ったこのレースで、ただ1頭内を突いて2着に来たのがトップナイフ。その際の鞍上が横山和騎手でした。
当時の馬場発表は稍重とはいえ、実質的には重・不良に近いかなりの極悪馬場でした。(そもそも札幌の芝は不良馬場にほぼならないのですが、このあたりについては小島友実さんの新刊『馬場のすべて教えます2』にも書かれています。必読の一冊だと思います)
そんな極悪馬場の中、ただ1頭内から伸びて来た横山和騎手の姿が、今回のベラジオオペラに騎乗する姿からふと思い出されたのでした。
~馬場が悪ければ悪いほど成績が上がる事実~
そこで早速調べてみました。横山和騎手の芝の馬場別成績。おおまかなスタイルは変わらないと思うので、デビューから先週終了時点までの期間でデータを見てみると、以下の通りかなり明確な傾向がみられました。