東京スポーツ・藤井真俊記者によるPOG最新情報。今回は先週の皐月賞振り返りと、今週土曜東京で行われる青葉賞の注目馬情報です。現場記者だからこそ聞ける話は必見です!
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先週は日曜中山でクラシックの第一冠・皐月賞が行われました。Cコース替わりとなった最終週の中山の芝は、前日から好タイムが連発。案の定、決着タイムは1分57秒0のレースレコードとなりました。
とはいえ、レースの中身に目を向けると、高速決着のスピード勝負といった印象とはほど遠く、タフな肉弾戦となりました。
押して先頭を主張するジュタの外を、勢いよく交わしてハナに立ったのがピコチャンブラック。前半2F・12.1-10.2秒と速いラップが刻まれました。
1~2コーナーは12秒台のラップで一旦落ち着いたものの、向正面に入るとファウストラーゼンとアロヒアリイが後方から一気に押し上げて先団へ。そこからラップが再び上がり、ラスト5Fは11.4-11.5-11.8-11.4-11.6秒の激流に。前後5Fで分けると59.3-57.7秒とスローの構成になるのですが、先行勢にとっては息が入らない厳しい展開となりました。
加えて、多くの制裁が課せられた一戦ともなりました。1コーナー手前ではマスカレードボールとエリキングが激しく馬体をぶつけてポジション争いを演じ、そのアオリを受けたフクノブルーレイクが外に弾かれ、サトノシャイニングやヴィンセンシオにも影響がありました。
向正面では馬群にいたニシノエージェントが外に動いたことで、ジョバンニ、ミュージアムマイル、サトノシャイニングが被害を受けました。直後にはマクって動いたアロヒアリイが内に切れ込み、ドラゴンブーストとクロワデュノールに被害を与えました。
そんな激しい一戦を制したのはモレイラ騎手の3番人気ミュージアムマイル。“またモレイラか”の声が各所から聞こえてきましたが、乱戦を冷静に捌いた手腕はやはり特筆すべきものがありました。
スタート後は気合をつけながらクロワデュノールの後ろの位置を確保。向正面の接触のシーンでも何とか踏ん張ってポジションをキープします。3コーナーではゴチャつくのを嫌ったクロワが外に出したのと対照的に、そのままインコースに待機。4コーナーを回ってから満を持して外に出すと、直線では先に抜け出したクロワを捕らえてみせました。
朝日杯FS・2着、弥生賞・4着の成績にも関わらず3番人気に推されたのには“モレイラ人気”も多分に含まれていたはずですが、それに騎乗ぶりで応える鞍上には、ただただ脱帽するばかりです。
父リオンディーズで、母はマイルで3勝を挙げたミュージアムヒル。東京2400mへの血統的な適性は亀谷さんにお任せするとして、“二冠”へ向けては誰がダービーで手綱を取るのか…も重要になりそうです。
1番人気のクロワデュノールは2着まで。向正面で不利を受けると、3コーナーでは外に出して早めに進出。前出の通り先行勢に厳しい展開だったことを考えると、最も強い競馬をしていたのはこの馬でした。当然、ダービーでの巻き返しに期待がかかります。
3着マスカレードボールはスタート後の攻防で加害馬とされましたが、自身も激しい接触で少なからずダメージはあったはず。直線では目立つ脚で伸びており、東京コースでの反撃がありそうです。4着ジョバンニ、5着サトノシャイニングにも不利があり、今回の結果が実力の全てではありません。
他にも消化不良に終わった馬や、展開面の不利に泣かされた馬が多数いた今年の皐月賞。ダービーが今回のレースの単なる焼き直しになるとは到底思えず、次も予想のしがいのある一戦となりそうです。
さて今週は土曜東京でGII・青葉賞、日曜東京でGII・フローラSと、2つのクラシック・トライアルが行われます。とりわけ青葉賞は例年より1週繰り上がっての開催で、ダービーまで中4週と従来よりもレース間隔が空けられるようになりました。
これまでダービー馬を1頭も輩出できていない青葉賞組ですが、いよいよ風向きが変わるかもしれません。