競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「ダートの砂厚」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
JRAで1年間に行われるすべてのレースのうち、半数近くはダート戦が組まれています。冬や3歳未勝利戦の終盤戦になるとその数が増えますよね。そこで今回から数回に分けて、ダートコースについてお伝えしていきます。
JRAの競馬場で正式にダートコースを導入したのは1960年の東京競馬場。アメリカのダートを元に、雨や雪が降っても競馬が出来る全天候馬場として造られました。
しかし、使用している砂の質は日本とアメリカでは異なっています。「dirt」を辞書で引くと意味は「泥」。雨の少ないアメリカの西海岸で使用されているダートはこの意味の通りで泥分が多いです。一方、雨が多い日本の気候には泥分の多い砂は排水に影響するため適していません。そこで日本では「sand」、つまり「砂」に近いものが使用されています。
昔は関東なら利根川や鬼怒川の川砂、関西では木曽川の川砂を使っていた時代もありましたが、環境保護の理由から採れなくなりました。そこで、全10場の競馬場で青森県の六ヶ所村周辺で採取された砂が使用されています。
続いては砂厚について。現在、JRAすべての競馬場でダートコースの砂厚は9cmに統一されています。これは2009年を機にそうなったもので、それ以前は競馬場により砂厚は異なっていました。JRA施設部によると、1960年代には砂厚が5cmだった競馬場もあったそうです。