競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは今週から開幕する「札幌芝」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今週から、札幌開催が始まりますね。競馬歴が浅い方は知らない人も多いかもしれませんが、かつて札幌競馬場は左回りでダートコースしかありませんでした。右回りとなったのは1975年で、現在の洋芝のコースでレースが始まったのは1990年からです。
1周距離は1640.9m(Aコース)で、ローカルの平均的なサイズ。コーナーが緩やかなため、全体の距離のうちコーナーが占める距離が長く、直線は266.1mと短いです(Aコース)。また、高低差は0.7mでこれはJRA全10場の中で一番小さな数字となっており、ほぼ平坦なコースとなっているのが特徴です。
本州と北海道の競馬場で大きく異なるのが芝の種類。本州で使用される野芝の北限が函館のため、北海道の競馬場では気温が低くても育つ寒地型洋芝を採用。現在、函館と札幌で使用される芝はケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、ペレニアルライグラス、3種の混生となっています。
芝の種類は函館と同じですが、札幌の芝コースは排水性がとても良いです。なにせ、芝コースができた1990年以降、芝の不良は一度もないのですから。
その理由は、上層路盤で使用する山砂の水はけが非常に良いからです。さらに札幌の場合、JRAで初めて造られた洋芝馬場ということもあり、馬場の悪化を防ぐため、全周にわたって柵下に暗渠管が設置されました。ですから、降雨後の馬場の回復は早め。雨が降ると時計がかかる函館とは異なります。また、札幌のほうが時計は速く、決め手のある馬が台頭しやすいです。
最近の札幌芝の馬場事情で変わってきたことと言えば、エアレーション作業です。