競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは今週末から開幕する「新潟芝」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
関東地方や北陸地方も梅雨明けが発表され、夏本番。今週からは新潟開催が始まりますね。私はこの夏、お仕事で新潟競馬場へ行く予定。今から茶豆と日本酒が楽しみです!
さて、その新潟競馬場。芝コースには内回りと外回りがあり、1周距離はAコースで内回りが1623m、外回りは2223m(高低差は内回りが0.8m、外回りが2.2m)。直線は内回りが358.7mで、外回りは全10場の中で一番長い658.7m(ゴールまでの320mは平坦)。日本の競馬場の中で直線のコース(1000m)があるのは新潟のみで、今週末のメインであるアイビスサマーダッシュは新潟競馬場の名物レースとなっています。
新潟はJRAの競馬場の中で唯一、年間を通して野芝100%でレースを行っているのをご存知でしょうか。春開催時は野芝が生育途上のため、草丈が短めで部分的に不揃いな箇所が見られますが、夏開催時は夏の日差しを受けて野芝がびっしり生え揃い、絶好の状態。そのため、速い時計がでるケースが多いです。
時計が速いからといって、開幕週に先行系一辺倒になるわけではなく、差しが決まります。それは直線が長いことに加えて、馬場のクッション性を高めるエアレーション作業を積極的に行っていることも背景にあると思います。
前回の札幌の記事でも触れましたが、JRAでは近年、“馬場をより軟らかくしよう”という方針を掲げ、競馬が開幕する1~2か月前に、バーチドレンやシャタリングマシンと呼ばれる機械で路盤をほぐし、軟らかくする作業を行っています。実はこの開幕前のエアレーション作業をJRAの競馬場で初めて取り入れたのが新潟で、2013年の夏開催前から実施しています。
開幕前にエアレーション作業を行っていなかった頃は、いくら直線が長い新潟でも開幕週には先行馬の活躍が目立っていました。しかし2013年以降は傾向が変わってきて、開幕週から差しが届きます。
では、今年の開幕前の馬場ではどんな作業が行われたのでしょう。