競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「美浦坂路」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
改修工事のため閉鎖されていた美浦トレーニング・センターの坂路コースが完成し、9月26日にプレオープン。10月4日より、本格運用となります。
美浦トレセンでは2018年末から大規模な改修工事を行っており、この坂路の改修はその目玉です。坂路工事は2020年6月に着工。地下25mまで掘削し、巨大なコンクリートの地下構造物を築造。掘り下げた坂路部分(660m)を造り、元々あった坂路に繋ぐという前例のない規模の土木工事となりました。
今回の最大の変更点は高低差。以前は18mでしたが33mになり、栗東坂路の高低差32mを1m超える坂路に生まれました。
また、以前の坂路はスタート地点付近が平坦でしたが、新坂路はスタートから勾配があり、これも注目点。まず、スタートから約180mが2.0%。その後、約810mが3.0%。ゴール(計測区間終了地点)を過ぎた後の80mが4.6%と、きつくなっています。なお、全長1200m、計測区間800m、幅員12mは以前の坂路と変わりません。
そして、以前は勾配が一番急になる所がゴールで、上りきるとすぐに下りとなり、騎乗者から『馬の止め際が危ない』という声がありました。そこで、今回はゴール位置を50m手前に変更。ゴールして坂を上り切った後の水平部が30m長くなりました。これにより、ゴール後から下り勾配に差し掛かるまでの距離が210mとなり(以前は130m)、安全に減速できるような構造になりました。
では坂路の時計にはどんな変化がありそうでしょうか。