競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは今週から開幕する「東京芝」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今週から東京競馬と京都競馬が開幕。今回は東京競馬場の芝コースを取り上げます。芝馬場の総面積は9万9000平方メートルあり、全10場の中で最大面積を誇ります。芝コースの1周距離はAコースで2083.1m(高低差は2.7m)。直線は525.9mあり、ゴール前460m地点から300m地点にかけては高低差2.0mの坂があります。
東京の芝コースは年間を通し良い状態を保ちやすく、それを可能にしているのがコース設定。東京は幅員が広いため、3mごとにAからDまで4本のコースが取れるのです。芝を張替えて、最も綺麗な状態で迎える秋の4回開催は3週目までがA、4回4週目と5回の2週目までがB、5回後半はC。そして冬の1回開催は全8日間がD。このように内側から使用していくため、傷みが分散します。これに長い直線が相まって、瞬発力が問われやすく、末脚勝負になりやすいのです。
東京競馬場の芝コースの路盤には暗渠管が設置されており、排水性が良いのが特徴。梅雨時などで芝が傷んでいる時は乾きが遅くなることもありますが、基本的に芝が良い状態で雨が止むと乾きが速いです。実際、2023年6月2日(金曜)に162.5ミリ、3日(土曜)に99.5ミリもの大雨が降り、土曜は不良スタートでしたが、日曜の午後にはなんと良に回復していました。
また、“雨上がりの東京芝コースは内側から乾く”と聞いたことがある人もいると思います。実際、朝は不良で始まり、重に回復した状態で行われた2019年のジャパンカップではスワーヴリチャードが内を突いて勝利。明らかな根拠はありませんが、内側から乾く傾向がある、ということを頭に入れておきましょう。
最近の東京芝における変化は、芝を張替える時期を早めている点です。