競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「ホープフルSが行われる中山芝」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
※次回の更新は1/9(火)を予定しています。お楽しみに!
有馬記念が終わってしまいましたね。競馬界のレジェンド武豊騎手に手綱が戻ったドウデュースが勝って、引退レースのタイトルホルダーが3着。最後に見せてくれた横山和生騎手とタイトルホルダーの逃げは胸を打つものがありましたよね。タイトルホルダー、本当に感動をありがとうございました。
私の本命はタイトルホルダーだったので、馬券もゲット。“有馬良ければすべて良し”となりました。これで無事に年を越せそうです(笑)。
さて、その有馬記念の勝ち時計2分30秒9は、2013年以降では過去2番目に速いタイムです。有馬記念を入れて、先週の中山芝で行われた特別戦は6レースあったのですが、そのうち5レースは昨年のタイムより速かったです。中山競馬場では12月16日以降、雨量が計測されておらず、今期の中山芝は依然、速い時計が出ています。
なぜ時計が速いのか。過去に馬場造園課に行った取材メモを読み返すと、あるポイントに気づきました。それが、“開催前に行うエアレーション作業の変更”です。
JRAでは近年、“軟らかい馬場造り”を目指し、開催前の1~2カ月前くらいにバーチドレンという機械を入れて、クッション性を高める作業を行っています。
中山ではこのエアレーション作業を2014年頃から連続開催以外の2月の2回開催、9月の4回開催、12月の5回開催の前に行ってきました。しかし、2021年の5回開催前からはこのエアレーション作業が実施されていないんです。当時の馬場担当者はその理由を、『冬期の芝はどうしても傷みやすいので、耐久性を考慮し、実施を見合わせました』と話していました。
2021年の12月開催前からエアレーション作業を実施していないなら、その2021年から中山芝の傾向が変わるはずなのに、なぜ今年は特に時計が速いのか?と思う方もいると思います。