競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「坂井瑠星騎手と馬場読み」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
高知競馬所属の塚本雄大騎手が3月24日のレース中の落馬が原因でお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
先週末はJRA今年初めての芝GIレース・高松宮記念が行われました。中京の芝コースは雨の影響を受けると、雨量や乾き具合によって内が残りやすくなったり、外伸びになったりするのですが、高松宮記念時の天候の発表は“小雨”で、馬場は“重”。そんなに強い雨にならなかったことで、あの日の中京芝コースは前半から内が残るコンディション。
考えてみれば、今年は1月の開催がなく、高松宮記念の週は今年に入って3週目の中京開催でしたから、そもそも馬場の状態が例年の同時期より良かったのだと思います。
高松宮記念を勝ったのは1枠2番マッドクール。道中は3番手のインを追走し、直線は内から抜け出し、同じく内目から追い込んできたナムラクレアとの争いを制して、初めてのGIタイトルを手にしました。この2頭の進路取りを見ても、やはり高松宮記念当日は内側が伸びる状態だったのでしょう。
今回、私が驚いたのはマッドクールに騎乗していた坂井瑠星騎手のレース後のコメントです。坂井騎手は馬場に関して『今日の前半のレースを見ていても、最内だけは頑張れていて残っていたので、そこを狙っていこうと考えていました』と話していました。
私がなぜ驚いたのかというと、その前日にメイショウタバルに乗って毎日杯を制した坂井騎手が、阪神競馬場の芝コースに関して、『今日の馬場傾向を見て、直線で内の1頭分のところを狙っていこうと、レース前から考えていました』とコメントしていたのを読んでいたからです。
2日連続、馬場傾向を完璧に読んで、勝利を掴んだ探求心と騎乗技術。本当に素晴らしいですよね。
先日、ある雑誌の企画で坂井騎手を含めたトップジョッキーとJRA馬場造園課による“馬場座談会”の司会進行を務めさせていただきました。その際、坂井騎手は、