競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「芝コースに散水を行う目的と影響」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
先週行われた天皇賞春当日の京都競馬場は夏日になったとのことで、X(旧Twitter)を見ても、“京都競馬場、暑い”というポストが多かったですね。
天皇賞春当日に最高気温が30度近くになる天気予報でしたから、レース前日の土曜日に芝コースへ散水を行ったのかなと思ったのですが、週の中間を含めても京都芝では散水が実施されていませんでした。
そもそも、なぜ散水を行うのでしょうか?
芝は気温が上がり水分が不足すると、縮んだり、回復力が低下したり、最悪は枯れてしまうケースがあります。そのため、JRAでは芝が生きていく上で必要な散水を行います。
ただし、馬場状態を左右するほどの散水は行っていません。以前、JRA施設部馬場土木課に取材したところ、その理由を『湿った馬場が得意な馬もいれば、乾いた馬場で好成績を出す馬もいて、適性はそれぞれです。それをどちらか一方へ有利に働くような状態にするのは公正ではないと考えています』と話していました。
つまり、必要以上の散水をしないのは公正面を重視しているからなのです。
JRAではこのように、芝が生きていくために必要な散水を平日の日中や、土曜日のレースが終わった夕方などに行っています。意外と思われるかもしれませんが、必要であればレース後の土曜夕方にも散水を行うことがあります。
散水をいつ行ったかという情報は、JRAホームページから「馬場情報」を開き、各競馬場の情報が掲載されている箇所を下にスクロールしていくと、「27日(土曜)に芝の生育管理のため散水を実施しました」などと明記されています。ちなみに、先週の東京競馬場では25日(木曜)から27日(土曜)まで毎日、散水が実施されていましたね。
先週の東京競馬場で頻繁に散水されたからといって走破時計に影響がなかったのは、先週の結果を見ても一目瞭然(先週の東京芝は土日とも速いタイムがマークされていました)。やはり、散水は馬場状態を左右するようなものでなないのです。
それでも時々、散水の影響が出るケースがあります。