競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「札幌芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
▼新刊発売のお知らせ
小島友実さんの新刊「馬場のすべて教えます2~JRA全コース徹底解説~」が5月24日(金)に発売されました。ロングセラーとなった前作からの続編、馬場の参考書としてぜひご活用ください!
今週から7週間にわたり札幌開催が始まりますね。まず基本的なことですが、本州と北海道の競馬場では使用している芝の種類は異なります。
本州で使用される野芝の北限が函館のため、北海道の競馬場では気温が低くても育つ寒地型洋芝を採用。現在、函館と札幌で使用される芝はケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、ペレニアルライグラス、3種の混生となっています。
芝の種類は函館と同じでも、札幌の芝コースはより排水性が良いです。これは毎年どこかの原稿に書いていることですが、なにせ札幌競馬場に芝コースができた1990年以降、芝の不良は一度もないのです。
その理由は上層路盤で使用する山砂が非常に水はけが良いから。さらに札幌の場合、JRAで初めて造られた洋芝馬場ということもあり、馬場の悪化を防ぐため、全周にわたって柵下に暗渠排水管が設置されました。ですから、降雨後の馬場の回復は早い傾向にあります。
また、函館開催は時期的に雨の影響を受けやすいですが、札幌開催は基本的に晴れる日が多く、気温も上がる日も多いですよね。それが芝の状態にも現れているのだと思います。基本的に札幌の方が時計は速く、決め手のある馬が台頭しやすいことを覚えておきましょう。
時計が速くなりやすい状況は含水率やクッション値にも表れています。2018年から2023年の2回札幌開催までの札幌芝の平均含水率は約12.8%。そして、2020年から2023年2回札幌開催の平均クッション値は約7.6。同じ洋芝を使用している函館競馬場の平均含水率は14.6%、平均クッション値は7.4ですから、札幌芝コースの含水率は低く、クッション値はやや高めとなっています。
なお、JRA全10場の平均含水率と平均クッション値は拙著「馬場のすべて教えます2」に書いていますから、是非ともお読みいただければと思います。
では、今年の開幕前の馬場ではどんな作業が行われたのでしょうか。