競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「今週からBコースに替わる中京芝」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今年は阪神競馬場が休止になっていることから、秋も中京開催が続いています。2020年から2022年までの3年間も9月に中京開催がありましたが、この時はそれぞれ前開催から数か月空いての開催でしたからね。同じ9月開催と言っても、今回とは馬場状態が違います。
とは言っても、今年の中京芝コースはここまで状態を維持できている印象です。先週はAコース5週目。芝のレースは10鞍あり、逃げ3勝、先行4勝、中団3勝。1着馬10頭のうち7頭は1~4枠。ペースが流れたレースでは中団差しが届いていましたが、全体的には直線の内~3分所を伸びる逃げ、先行馬が活躍していました。
9月6日(金曜)にJRAホームページの馬場情報に掲載されていた芝コース4コーナー内側の写真を見たら、芝が無いように見える箇所があったので驚かれた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
ただ、先週土日の芝のレースのパトロール映像を見ると、ジョッキー達が4コーナーを避ける様子は見られませんでした。つまり、まだ下の方にはきちんと匍匐茎が残っているのです。実際、ホームページの写真を注意深く見ると、下の方に茶色い匍匐茎が残っているのがわかります。
芝コースの下には匍匐茎と呼ばれる茎の層があり、芝の地中で横に茎が伸びてマット状の層を作り、実はここで馬の脚を支えています。また、馬が走り、表面の芝が飛んでしまっても、ある程度の気温があれば下に残った匍匐茎が伸びて、自己修復します。
ちなみに、オーバーシードで使用される洋芝のイタリアンライグラスは単年草なので、芝が取れてしまった箇所は種を蒔かない限り、新しい芝は生えてきません。野芝が芝馬場の基本と言われるのはこの匍匐茎があるから。表面の芝が無くなっても、匍匐茎が残っていれば、馬の蹄や体重を支える事ができるというわけです。
一方、正面直線の写真を見ると、内側も含めてまだ緑色を保てています。8月6日配信の当コラム(馬場マニア注目! 鳥取産野芝を導入している中京芝)に書いた通り、中京では今年の春開催終了後、芝の張替を行いました。直線の傷みが最小限度に留まっているのは……