競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「チャンピオンズCが行われる中京ダートコースの変化」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
JRAは来年の年明けをめどに、ダートコースで使用するクッション砂の産地をホームページにて公表します。11月13日、東西のトレセンでその詳細についての説明会が行われ、参加してきました。
近年、珪砂(白い砂)へ変更する地方競馬場が増えてきている事をご存知の方も多いと思います。珪砂はガラス製品や陶器の原料としても使用されている砂。異物が混合しておらず、衝撃に強いため粉砕しにくいという特徴があります。
そのため、近年はダートで使用する砂に適しているとして、園田競馬場、姫路競馬場、門別競馬場、船橋競馬場、大井競馬場がオーストラリア・アルバニー産の珪砂を使用。また、名古屋競馬場や笠松競馬場、金沢競馬場で使用されている砂は愛知県瀬戸市産の珪砂です。
珪砂はその見た目から、白い砂と評され、SNSで話題になる事も多いです。なお、地方競馬場ではこれらの珪砂が単体で使用されています。
ここ数年、地方競馬場で砂の変更が相次ぐ状況には、世界的に砂が不足し、良質な砂が採取しにくくなってきた事が背景にあります。これはJRAにとっても例外ではありません。
そもそもJRAでは1990年以降、青森県産の砂を長い間、各競馬場で使用してきました。しかし2020年頃から、青森県の良質な砂が採れにくくなってきました。
そこで最近は、これまで使用してきた青森県産の砂をベースに、それぞれの競馬場に必要な要素を補える産地の砂を混ぜているのです。
JRAは今回、砂の産地状況を正式公表しますが、これまでも個別取材には応じており、2023年夏の段階での状況は、拙著「馬場のすべて教えます2」に記載しています。そして、今回の勉強会では2023年12月段階での各競馬場の砂の産地別構成比が公表されました。
そこで今回は今週末にチャンピオンズカップが行われる中京競馬場の状況をお伝えしましょう。
中京競馬場が青森県産以外の砂を補充し始めたのは2021年からで、愛知県瀬戸市産の珪砂を混ぜ始めています。そして、2023年12月の段階では青森県産が62.4%、愛知県瀬戸市産が37.6%。ちなみに、この愛知県瀬戸市産の珪砂は名古屋競馬場や笠松競馬場、金沢競馬場で使用されている愛知県瀬戸市産の珪砂と同じものです。
ということで、すでにJRAにも白い砂が入っていたのかと驚く方も多いと思います。特に中京では愛知県産の珪砂の割合が3割を超えています。その影響で、最近の中京ダートコースの色は以前より段々白くなってきています。気づいていましたか?
では最新の状況はどうなっているのでしょうか。