競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「有馬記念が行われる中山芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
1年が経つのはあっという間。今週末はもう有馬記念です。今年は「馬場のすべて教えます2」を上梓させていただくなど、例年以上に忙しい1年でした。馬場マニアとしてはその年の傾向やトラックバイアスが出やすい有馬記念はしっかり的中させたいところです。
先週、中山芝のレースは10鞍行われ(土日とも良)。脚質別成績は逃げ2勝、先行3勝、中団5勝。先週はAコース3週目。特に先週土曜日は風の影響があったのかペースが流れるレースが多く、中団差しが届いていました。また、1着10頭中8頭は4枠から内の馬。Aコース3週目でしたが、差すにしても内目からという感じでした。
そして、先週土曜日・ひいらぎ賞の勝ち時計1分32秒4は2歳コースレコード。日曜日に行われたディセンバーSの勝ちタイム1分45秒2はコースレコードに0.3秒差。今年暮れの中山開催は開幕週、2週目ともに昨年より速い時計が出る状態で推移していたのですが、3週目の先週もかなり速い時計が出るコンディションとなっていました。
どうして、速い時計が出ているのか。その理由の1つに雨量が関係していると見ています。
12月の5回中山開催の開幕初日から3週目までの総雨量を比較します。2021年は87ミリ。2022は39.5ミリ。2023年は23.5ミリ(そもそも昨年も12月の雨量が少なくて、時計が速かった)。一方、今年の中山競馬場は11月28日(木曜)以降、雨量を計測していません。
つまり、12月開催の開幕初日から3週目までの総雨量は0ミリ! ちなみに、東京都心も12月1日から15日まで降水なし。12月に雨が降らないのは24年ぶりだそうです。
雨が少なければ、それだけ芝コースは締まっていきますから、やはり時計は速くなります。ましてや、馬の蹄で掘れる機会が減りますから、馬場が荒れにくくなります。結果として良い状態をキープできるため、速めの時計が出ている、というわけです。
ちなみに、馬場が締まってきていることはクッション値にも表れています。5回中山開催1~3週目までの開催日の平均クッション値は一昨年が約9.2、昨年が約9.6だったのに対して、今年は約9.8(クッション値が高いほど硬い)。
また、良い状態をキープしやすくなってきている理由はもう1つあります。