競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「12月から変更された大井競馬場の砂厚」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
※今回が2024年最後の更新です。次回の更新は1/7(火)になります。
有馬記念が終わり、今年のJRAのGIレースは12月28日のホープフルSのみ。そしてその翌日は大井競馬場で東京大賞典が行われますね。今年もまだまだ勝負は終わっていません!!
最近の大井競馬場の大きなトピックと言えば、レースで使用するクッション砂を変更したこと。以前は青森県つがる市・六ヶ所産海砂(洗浄砂)と青森県東通村産海砂(新砂)を使用していましたが、2023年の11月の開催から西オーストラリア州のアルバニー産の珪砂に変更されました。
この西オーストラリア州のアルバニー産の珪砂は近年、地方競馬場で導入が広がる砂で、色が白いです。なお、園田、姫路、門別、船橋競馬場で使用されている白い砂も西オーストラリア州のアルバニー産の珪砂です。
そして昨年11月に砂を入れ替えた際、砂厚が10㎝に変更されました。歴史を振り返ると、大井競馬場の砂厚は1990年に行った路盤改修以降は7㎝でしたが、競走馬の事故が重なり、厩舎関係者の要望が検討されました。その結果、事故の防止と騎手の安全性を確保するため、2012年7月からは1㎝厚くされ、8㎝でレースが実施されてきました。
ですから、昨年11月は従来の8㎝から2㎝も厚くなっていたというわけです。
今年の2月、新しくなった砂の印象について関係者に話を聞くことができました。大井競馬騎手会会長の和田譲治騎手は、「変わった当初はすごく時計がかかっていましたが、最近は少し落ち着いてきた印象です。極端に前が残る馬場ではなく、ペースによって差しが決まります。以前より砂がゴーグルにつかなくなったので、今の砂の方が良いです」とコメントしていました。
一方、ミックファイアを管理する渡邉和雄調教師が、「砂厚が厚くなったことで、少し競馬が変わった感じがありますね。以前の大井の速い時計で結果を出していた馬や、馬格のない馬は苦戦するケースもあります」と話していたことが印象に残っています。
10㎝になった以降の走破時計はやはり、以前よりかかっている感じでしたね。2023年の東京大賞典(良馬場)の時計は2分7秒3となっており、2014年以降の10年間では最も遅いものでした。
その大井競馬場の砂厚。東京シティ競馬(TCK)のホームページにて、今年12月1日からクッション砂の砂厚を9㎝に変更する、と発表があったのをご存知でしょうか。ちなみに、JRAのクッション砂の厚さも全場9㎝です。
では砂厚が薄くなると、どんな変化が起こるのでしょう。