競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「大規模な芝張替を行った阪神芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
スタンドリフレッシュ工事を行っていた阪神競馬場が3月1日に再開しますね。今回、芝コースとダートコースのレイアウトは変わっていませんが、休止している間に馬場では芝張替やダートの路盤改修工事などを実施。今回は芝コースについてお伝えします。
昨年4月の2回開催後、例年の2.5倍となる約5万㎡の芝張替を実施。また、正面直線と向正面外側の路盤更新(路盤砂の入替)が行われ、排水性、クッション性、均一性が向上しました。
芝コースの張替箇所は直線と向正面の全幅員と、内回り、外回りの3~4コーナーは内側から約7m、1~2コーナーは内から約15mなどで、張替面積は52400㎡。阪神競馬場の芝コースの総面積は80600㎡ですから、競走で使用するほとんどの箇所を張り替えた事になります。
例年の阪神開催のスケジュールではここまでの規模のメンテナンスはできないので、2006年以来、18年ぶりとなる大規模張替となりました。
では、張替にはどんな芝を使用したのでしょうか。2コーナーの発走地点約3000㎡は鳥取県で栽培されたエクイターフを使用(導入は今回が初)。それ以外はすべて鳥取県産野芝で張替が行われました。
当コラムでも何度か紹介している通り、鳥取県産野芝は傷みにくい芝として定評があるエクイターフに引けを取らないほど丈夫とされる野芝。阪神競馬場では2021年から鳥取県産野芝を使用しています。
2021年と2022年に京都競馬場の代替でそれぞれ約3か月のロングラン開催を行いましたが、最終週まで内側が伸びて良い状態だったことを覚えている方もいると思います。
その陰の立役者がこの鳥取産野芝です。それが今回、阪神芝コース総面積の約65%にあたる52400㎡も導入されたのですから、馬場マニアからすれば大注目です。
なお現在、鳥取県産野芝を使用しているのは阪神と中京競馬場のみで、5万を超える量が使用されたのはJRAでは初となります。
昨年10月中旬には洋芝(イタリアンライグラス)をオーバーシード。1月30日に阪神競馬場へ取材に行き、芝コースを歩いてきましたが、野芝、洋芝ともに順調に生育し、とても良好な状態となっていました。
では、走破時計はどうなりそうでしょうか。広範囲に芝張替が行われたので、時計が速くなるのではと思う方もいると思います。