競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「皐月賞が行われる中山芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今週末は中山競馬場で皐月賞が行われます。その舞台となる中山芝コース。先週はレースが9鞍あり、先行4勝、中団5勝。Bコース2週目で中団差しがやや優勢になりました。先週日曜日は雨が降る中でのレースでしたが、外差しではなく、馬場の3~4分くらいが伸びる感じでした。
今年3月以降の中山開催は雨の影響を受ける機会が多かったわりには、それなりに状態を保てている印象。現に、良馬場だった先週土曜日に行われたニュージーランドトロフィーの勝ち時計1分32秒4は、このレースが中山マイルを舞台に行われるようになった2000年以降では史上2番目に速いタイム。そのほかの土曜日のレースでもかなり速い時計がマークされていました。
皐月賞の馬場がどうなりそうか。実は今年、馬場的要素では例年とは大きな変化があるので、それを認識しておく必要があります。
3回中山の最終週に組まれている皐月賞は昨年までBコース3週目で施行されていました。しかし今年はCコースに替わって実施されるのです!
過去数十年にわたり、皐月賞がCコースで行われた年があったか調べてみましたが、そのような記録はありませんでした。中山競馬場の馬場造園課に聞いたところ、「皐月賞がCコースで行われるのは初めてだと思います」と話していました。
ではなぜ、今年はCコース施行なのでしょうか。これについては、今年1月に中山の馬場造園課に伺っています。まず基本事項として、芝コースの移動柵は原則として内側から外側へ動かしていく(Aコース→Bコース。Bコース→Cコースなど)運用となっています。
しかし、Cコースの出走可能頭数は昨年まで17頭でした。ですから皐月賞をCコースで行うことはできなかったのです。
そんな中、昨年、騎手立ち合いの元、Cコースの芝2000m発走地点にゲートを設置してみたところ、スペース的に18頭取れることが判明。
「Cコースの出走可能頭数を17頭から18頭へ増やすことについて、騎手側にも理解してもらい了承を得ることができました。中山は連続開催の最終週にGIを実施することから、開催中の天候によっては馬場の傷みが大きくなることもありました。出走可能頭数の懸念事項がなくなったことから、少しでも良い馬場で実施できるように、Cコースを使用することになりました」と馬場担当者は話していました。
覚えている方もいるかもしれませんが、ゴールドシップが勝った2012年の皐月賞は4コーナーの内側が荒れて、道悪適性も問われた一戦でした。競走馬にとってクラシックは3歳時にしか出られない大事なレースですから、“少しでも良い馬場で”となるのは自然なことだと思います。
ということで、中山芝2000mは今年からCコースの出走可能頭数が17頭から18頭に変わっています。Cコースになると…、