競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「先週開幕した京都芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
先週から春の京都開催が始まりましたね。今週末は天皇賞(春)が行われますので、今回は京都芝コースがテーマです。まずは、この2回開催前にどんな作業を行って開幕したのかをお伝えしましょう。
1回京都競馬終了後、開催で傷んだ箇所の蹄跡補修、洋芝(イタリアンライグラス)の追加播種を行い、約2週間、保温効果のあるシートで養生しました。また例年通り、今開催前のエアレーション作業は実施されていません。
馬場担当者に聞いたところ、「3月下旬以降、降水量は少な目でしたが、気温が平年より高い状況が続いたため、野芝、洋芝ともに順調に生育し、おおむね良好な状態です」と話していました。
先週の開幕週は芝レースが12鞍行われ、逃げ2勝、先行4勝、中団3勝、後方3勝(土日とも良)。先行一辺倒ではなく、差しも届いていました。そして12鞍中7鞍は6枠から外の馬が勝利。内目だけではなく、3~5分くらいも伸びていました。また、走破時計は開幕週だからといって超高速馬場といった感じではなく、速めの時計が出る程度という感じでした。
最近の京都芝コースでは、認識していただきたいポイントがあります。それは“クッション値”です。先週土曜の京都芝コースのクッション値は10.8。日曜は11.2でした。この数字を見た人の中には、「高いなあ」と思った人もいるのではないでしょうか(クッション値は値が高いほど締まっている)。しかし、この値。今の京都の水準値です。
2023年春、路盤改造工事を行ってリニューアルした直後の京都芝コースはまだ路盤が軟らかく、2024年2月11日には良馬場でも8.7という低い数字が出ていました。覚えている方もいると思いますが、京都芝コースは昨年の2月開催までは良馬場でも少し時計がかかり、タフな状態になることが多かったです。これは前述した通り、まだリニューアルした路盤が軟らかかったことが関係していたと思います。