競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「レコードタイムが連発された函館芝」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
先週から始まった函館開催。カピリナが函館スプリントSを1分6秒6のコースレコードで勝利したほか、2つの新馬戦でもレコード決着。先週は計3つのレコードがマークされるなど、速いタイムが出ていましたね。
函館では2017年の1回函館開幕週にレコードが多発。そこで、2018年からは芝コースにおけるエアレーション作業内容の見直しが行われ、路盤をほぐす効果の高いバーチドレンを入れる回数が増加。以前は開幕前の3月下旬か4月上旬に1回のみバーチドレン作業を実施してきましたが、2019年以降はその回数を増やして2回になり、1回目のバーチドレンをおおむね3月末に、そして2回目を5月中旬に入れるようになりました。
そして、エアレーション作業の見直しが行われた2018年から昨年までの函館芝コースでは、レコードタイムが更新されたレースは1つもありませんでした。
では、なぜ今年は速い時計が出たのでしょうか。その要因を探る前に、開幕前にどんな作業が実施されたのかをご紹介します。
昨年の1回函館開催終了後、競走により傷んだコースの内側を中心に芝の張替を実施。そして例年同様に昨年10月にシャタリング作業を実施。今年4月上旬と5月上旬にはバーチドレンによるエアレーション作業が行われています。
ということで、馬場の作業としては、ここ数年と同じような過程をたどり開幕しています。ですから、管理作業の内容が時計面に影響した可能性はないでしょう。
私が注目したのは芝コースの含水率です。函館競馬場の含水率が発表されるようになった2019年以降、開幕週における函館芝コース土日の平均含水率は以下の通りです。
2019年:15.375%
2020年:14.65%
2021年:15.675%
2022年:12.875%
2023年:15.825%
2024年:14.425%
2025年:12.675%
この数字を見ると、今年が一番低いのがわかります。つまり、今年の開幕週の芝コースは乾燥していたというのは間違いないです。
函館競馬場の馬場担当者に聞いたところ、5月の降水量は59.5ミリだったそうです。昨年が95ミリだったとのことなので、かなり少ないですよね。また平年値は88.9ミリなので、それと比べても少なかったと言えます。6月13日(金曜)までの6月の降水量も7ミリで、6月に入っても少ない状況でした。