競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「凱旋門賞有力馬・取捨選択のポイント」です。
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今年も凱旋門賞が近づいてきました。2016年の凱旋門賞から始まった海外馬券発売も丸10年ということになります。
好メンバーが揃った今年の凱旋門賞。有力馬の詳しいプロフィールは9/10公開の「凱旋門賞有力馬1か月前チェック」で紹介しましたので、今回は有力馬たちの馬券の取捨選択のポイントをまとめてました。
(1)牡馬として48年ぶりの連覇なるか
大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」が2.5倍で前売り1番人気に評価しているダリズ(牡4/仏 F・グラファール厩舎)には、牡馬としての48年ぶりの連覇がかかっています。
▼凱旋門賞を連覇した牡馬
クサール:1921、1922年
タンティエーム:1950、1951年
リボー:1955、1956年
アレッジド:1977、1978年
凱旋門賞を連覇した牡馬は4頭で、いずれも3、4歳時に連覇しています。一方、牝馬はコリーダ(1936、1937年/4、5歳時)、トレヴ(2013、2014年/3、4歳時)、エネイブル(2017、2018年/3、4歳時/3歳時はシャンティイ開催)の3頭が達成している他、1930年と1932年には牡馬のモトリコが5歳時と7歳時に隔年で2勝したという記録が残っています。
凱旋門賞の負担重量は、3歳牡馬が56.5kgに対して4歳以上の牡馬は3kg重い59.5kg。牡馬が連覇するには、負担重量に恵まれた3歳時に勝利し、斤量が3kg増える翌年もこれをはねのける必要があります。
その上、凱旋門賞を3歳で制した馬は、種牡馬としての価値が高まるため引退するケースが多く、実際、過去20年で凱旋門賞を3歳時に制した牡馬5頭のうち4頭(2006年レイルリンク、2009年シーザスターズ、2015年ゴールデンホーン、2023年エースインパクト)が引退して翌年は出走しませんでした。
3歳時に凱旋門賞を制した牡馬が翌年に連覇を挑むのは、2010年の凱旋門賞馬ワークフォース以来で、2011年のワークフォースの凱旋門賞は12着でした。
また、もう少し以前に遡っても、1999年に3歳で勝ったモンジューは翌年4着、2004年に3歳で勝ったバゴは翌年3着、2005年に3歳で勝ったハリケーンランは翌年3着と、いずれも連覇を逃しています。
<結論>
「牡馬による凱旋門賞連覇は、挑む馬自体が稀であり、かつ達成するのは至難の業」
(2)同舞台のパリ大賞&凱旋門賞ダブル制覇なるか
ウィリアムヒル6.0倍の2番人気モルティーズクロス(牡3/英 W・ハガス厩舎)は、凱旋門賞と同舞台で行われるG1パリ大賞の優勝馬です。
▼2005年以降のパリ大賞優勝馬の同年凱旋門賞の成績
【1-0-2-13】
パリ大賞が凱旋門賞と同じ2400m戦になった2005年以降の過去21年間で、同一年の凱旋門賞も出走したパリ大賞勝ち馬は16頭いましたが、優勝したのは、2006年のレイルリンクただ1頭。2着はおらず、3着も2009年のカヴァルリーマン、2021年のハリケーンレーンの2頭だけでした。
一方、2000m戦時代(1987~2004年)のパリ大賞優勝馬は、1990年のソーマレズ、1997年のパントレセレブル、2004年のバゴと、17年間で3頭が同一年の凱旋門賞を制しているのが興味深いところです。
また、2013年のパリ大賞勝ち馬フリントシャーは、同年の凱旋門賞は8着と敗れましたが、翌年と翌々年に連続で2着に入り、コース適性の高さを示しました。ちなみに、勝利したパリ大賞と、2回の2着の凱旋門賞時の馬場は良馬場だったのに対し、8着だった凱旋門賞時は重馬場でした。
7月の真夏に行われるパリ大賞に対して、凱旋門賞は開催時期に雨が降り重馬場になることが多く、同コースながら、馬場状態がどうなるかが大きなポイントになります。モルティーズクロスは道悪の英ダービーで2着と好走。パリ大賞時のパリロンシャンは稍重でした。
<結論>
「馬場を選ばなければ好走は可能だが、勝つのは簡単ではない」
(3)同一年のキングジョージ&凱旋門賞制覇なるか
ウィリアムヒル8.0倍の3番人気カルパナ(牝5/英 A・ボールディング)は今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの優勝馬です。
▼キングジョージ&凱旋門賞を同一年で勝利した馬
1956年 リボー
1958年 バリーモス
1971年 ミルリーフ
1986年 ダンシングブレーヴ
1995年 ラムタラ
2007年 ディラントーマス
2017年 エネイブル
キングジョージ&凱旋門賞を同一年で勝利した馬は、わずか7頭しかおらず、どれも歴史に名を残す伝説の名馬ばかりです。去年と一昨年のキングジョージはセン馬が制していたので、キングジョージ優勝馬が同年の凱旋門賞に出走するのは3年ぶり。カルパナは、同じ牝馬のエネイブル以来、9年ぶりのキングジョージ&凱旋門賞同一年制覇を目指します。
カルパナは、去年、凱旋門賞で7着でした。
▼過去20年の凱旋門賞で、前年よりも着順を上げて馬券に絡んだ馬
2008年 ソルジャーオブフォーチュン
→3着 2007年5着
2014年 フリントシャー
→2着 2013年8着
2016年 ファウンド
→1着 2015年9着
2019年 ヴァルトガイスト
→1着 2018年4着
2020年 ソットサス
→1着 2019年3着
2023年 ウエストオーバー
→2着 2022年6着
2023年 オネスト
→3着 2022年10着
2025年 ソジー
→3着 2024年4着
ご覧のように、3頭が前年から着順を上げて優勝しているほか、去年のカルパナよりも下の着順からも巻き返している馬も見られます。なお、ファウンドの2015年はロンシャン、2016年はシャンティイでした。
<結論>
「ディープインパクトの孫。凱旋門賞に強い牝馬でもあり、優勝を含めて好走する可能性は高い」
(4)仏オークス馬の同一年凱旋門賞制覇なるか
ウィリアムヒル9.0倍の4番人気は、ダイヤモンドネックレス(牝3/愛 A・オブライエン厩舎)。陣営が出走を表明し、一気にオッズが上がった今年の仏2冠牝馬です。
▼同年に「仏オークス→凱旋門賞」を制した馬
1931年 パールキャップ
1945年 ニケロラ
1953年 ラ・ソレリーナ
2008年 ザルカヴァ
2013年 トレヴ
仏オークスがシャンティイ競馬場の芝2100m戦であることと、凱旋門賞当日に芝2000mの牝馬限定G1オペラ賞が組まれていることから、凱旋門賞に出走してくる仏オークス馬は限定的で、上記のように同一年の凱旋門賞を制したのは5頭しかいません。
過去20年で見ても、凱旋門賞も勝利したのはザルカヴァとトレヴという歴史に残る名牝2頭で、2009年のスタセリタ(7着)、2010年のサラフィナ(3着)、2025年のゲゾラ(13着)といった仏オークス馬は凱旋門賞に挑むも勝利できませんでした。
また、凱旋門賞も勝利したザルカヴァやトレヴ、3着と好走したサラフィナは、いずれも凱旋門賞前に同舞台のヴェルメイユ賞を制していて、ダイヤモンドネックレスには、初の2400m戦というのが大きな壁になりそうです。
<結論>
「歴史に名を残す名牝ならば可能だが、初距離など不安の方が大きい」
(5)英オークス馬の同一年の凱旋門賞制覇なるか
ウィリアムヒル11.0倍の5番人気サンダリングオン(牝3/愛 J・オブライエン厩舎)は今年の英オークス馬です。
過去20年で同一年の凱旋門賞に出走した英オークス馬は4頭。その成績は【1-1-1-1】です。凱旋門賞も制したのは2017年のエネイブル。2着だったのは去年のミニーホーク。3着は2014年のタグルーダ。唯一、着外だったのは2021年。ディープインパクト産駒のスノーフォールが6着でした。同じ2400m戦なだけに、出走してくれば、好走する可能性はかなり高くなっています。
<結論>
「凱旋門賞に強いフランケル産駒の牝馬。勢いある厩舎でもあり、有力」
(6)ニエル賞勝ち馬の同一年の凱旋門賞成績は?
ウィリアムヒル15.0倍の6番人気ヴァランディール(牡3/仏 F・グラファール厩舎)は、アークトライアルのニエル賞勝ち馬です。
ニエル賞勝ち馬の同一年の凱旋門賞成績は、過去20年で【1-0-3-13】です。優勝馬は2006年のレイルリンク以来20年間出ていません。2着馬はおらず、3着馬も、2009年のキャヴァルリーマン、2015年のニューベイ、2019年のソットサスの3頭だけです。なお、2019年に3着だったソットサスはご存知の通り、翌年の凱旋門賞を制しています。
<結論>
「あって3着まで。勝つのはかなり難しい」
(7)凱旋門賞2着馬の翌年の成績は?
ウィリアムヒル21.0倍の7番人気ミニーホーク(牝4/愛 A・オブライエン厩舎)は去年の凱旋門賞2着馬です。
▼翌年も好走した凱旋門賞2着馬(過去20年)
2007年2着馬 ユームザイン
→2008年2着 2009年2着
2012年2着馬 オルフェーヴル
→2013年2着
2014年2着馬 フリントシャー
→2015年2着 2016年4着
2017年2着馬 クロスオブスターズ
→2018年3着
過去20年で12頭の「凱旋門賞前年2着馬」が出走。着順を上げての優勝馬こそいないものの、3年連続2着のユームザインやオルフェーヴルなどが再び2着に入っています。
<結論>
「優勝は難しいが、再び上位に入る可能性は高い」
(8)日本馬2頭のポジティブなデータ
ブックメーカーから伏兵視されている日本馬2頭については、ポジティブなデータのみを挙げておきます。
ウィリアムヒル34.0倍のメイショウタバル(牡5/栗東・石橋守厩舎)は、ステイゴールド系種牡馬のゴールドシップ産駒です。
▼ステイゴールド直仔またはステイゴールド系種牡馬の産駒の凱旋門賞
【0-3-0-3】
2010年 ナカヤマフェスタ 2着
2011年 ナカヤマフェスタ 11着
2012年 オルフェーヴル 2着
2013年 オルフェーヴル 2着
2014年 ゴールドシップ 14着
2023年 スルーセブンシーズ 4着
51.0倍のアドマイヤテラ(牡5/栗東・友道康夫厩舎)の鞍上は、クリスチャン・デムーロ騎手です。
▼クリスチャン・デムーロ騎手の凱旋門賞成績
【2-0-1-7】(4着1回、5着1回、6着2回)勝率.300。
(9)ゲート番
最後に、この原稿は出走馬、ゲート番の確定前のものですが、近年の凱旋門賞で最も重要な「ゲート番」についての数字を紹介します。オープンストレッチが設置されるようになった2018年以降の8年間で3着以内に入った馬24頭のうち半数以上の13頭がゲート番4番以内でした。特に去年は内枠3頭で決着(2番-1番-3番)。オープンストレッチは今年も設置される見込みです。
日本馬に声援を送りながら、ぜひ、馬券も当ててくださいね。
それでは、10/4(日)22:00~のグリーンチャンネル「2026凱旋門賞中継」でお会いしましょう!
