トレセンでは毎年2月末で解散となる厩舎に所属する馬や従業員さんが、3月から開業する新しい厩舎へと引き継がれるのが慣例となっています。2021年に開業した辻野泰之厩舎には、主に辻野調教師が所属していた角居厩舎、西浦厩舎、西橋厩舎から従業員さんが集まりました。
角居厩舎からはキセキ、サートゥルナーリア、ラキシス、カネヒキリ……などそれぞれ超のつく名馬を担当された方々が集結。そして西浦厩舎からもホッコータルマエの担当者さん、ブラックムーンの担当者さんが、さらに西橋厩舎からは乗り手として期待される若手のホープお二人がやってきて一頭持ち攻め専として活躍されています。
調教師さんが選り好みできるわけではないなかで、これだけ濃くて素晴らしいメンバーが揃ったのは縁としか言いようがありません。
皆さんが素敵なのは、自分は◯◯を担当していたんだぞとか、誰一人ホースマンとしての腕自慢をされないこと。それはたぶん、人間と違って口先や小手先で誤魔化したりできない馬たちを相手に、しっかり信頼関係を築いてきたという経験の積み重ねがあるからなのではないでしょうか。
誰に語らずとも、いまさら持て囃されたりせずとも、奪われたり揺らいだりしない軸を持っている・・・・・・。一流ってこういうことなのかな、と思ったりしています。だって、二流三流の私は、大したこともしていないくせに“めっちゃ頑張ってる感”を出してしまいますからね。反省。
ともあれ、そんな辻野厩舎から昨年の12月17日に阪神の2歳新馬戦(芝外1800m)でデビューした馬がジャズです。父ルーラーシップ、母カンタービレと角居厩舎の結晶というべき血統で、担当も元角居厩舎・清山助手。
▲初勝利を賭けて6日に未勝利戦に出走するジャズ